1.川崎市の2025年度児童虐待相談・通告受付は6303件で、前年度比6.2%増となった
2.「川崎市子どもを虐待から守る条例」に基づき、虐待の状況と市の施策を毎年度議会へ報告している
3.川崎市の「相談・通告受付件数」と国の「虐待相談対応件数」は集計定義が異なり、数字を単純比較できない

川崎市は2026年8月21日、「川崎市子どもを虐待から守る条例」第21条に基づく2025年度の年次報告書を公表した。市内の児童相談所と区役所で受け付けた児童虐待の相談・通告は6303件で、前年度から6.2%増加した。市は2013年4月1日に条例を施行し、虐待の発生状況、相談・通告、市が講じた施策などを毎年度取りまとめ、議会へ報告した上で公表している。国の児童虐待防止法に加え、自治体条例によって継続的な報告と検証の仕組みを設けている。
2025年度の内訳は心理的虐待3527件で56.0%、ネグレクト1546件、身体的虐待1202件、性的虐待28件だった。ただし、川崎市の数字は「相談・通告を受け付けた時点」の件数であり、その後の調査で虐待と認定されなかったものなども含み得る。市は今回、過年度についても集計方法を統一するため一部数値を修正している。このため、過去に公表された資料との時系列比較を行う場合には、同じ定義で再集計された数字を使う必要がある。
こども家庭庁が公表した2024年度の全国統計では、全国236か所の児童相談所が虐待と判断し、指導・措置などを行った「児童虐待相談対応件数」は22万3691件だった。心理的虐待は13万3024件で59.5%、警察等からの相談は11万5644件で51.7%を占める。川崎市でも心理的虐待が最多という構成は共通するが、国の数字は児童相談所が虐待と判断して対応した件数、川崎市は区役所を含めた受付件数であり、年度も異なる。したがって「全国平均より川崎市が多い・少ない」といった直接比較はできない。
児童虐待防止法は、虐待の禁止、早期発見、通告、児童の保護や自立支援などを定めている。川崎市の条例報告を活用する際には、通告件数の増減だけを「虐待が増えた・減った」と読むのではなく、住民や関係機関による通告意識の変化、相談経路、調査後の判断、継続支援などを分けて見る必要がある。市は第2期「川崎市子ども・若者の未来応援プラン」の下で、妊娠期から子育て期までの支援、区役所と児童相談所、医療、警察、司法などの連携を進めている。6303件の受付後にどのような支援へつながったかまで年次報告で追跡することが、条例による継続検証の核心となる。
川崎市「『川崎市子どもを虐待から守る条例』に基づく年次報告書」
URL: https://www.city.kawasaki.jp/templates/prs/450/0000189485.html
川崎市「令和7年度 年次報告」報道発表資料
URL: https://www.city.kawasaki.jp/templates/prs/cmsfiles/contents/0000189/189485/R7_houdouhappyou.pdf
川崎市「川崎市子どもを虐待から守る条例第21条に基づく年次報告」
URL: https://www.city.kawasaki.jp/450/page/0000050817.html
こども家庭庁「令和6年度児童虐待相談対応件数」
URL: https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a176de99-390e-4065-a7fb-fe569ab2450c/844e601a/20260130_policies_jidougyakutai_45.pdf
e-Gov法令検索「児童虐待の防止等に関する法律」
URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC1000000082
児童虐待
URL: https://jinken-news.com/glossary/child-abuse/
児童虐待防止法
URL: https://jinken-news.com/glossary/jidou-gyakutai-boshi-hou/
児童相談所虐待対応ダイヤル189
URL: https://jinken-news.com/glossary/child-abuse-hotline-189/

