1.国土交通省の認定家賃債務保証業者は、2026年7月31日時点で12者となった。
2.認定業者は、緊急連絡先を親族などの個人に限定せず、別の保証人も原則として要求しない。
3.保証申込みを正当な理由なく断らない基準は居住サポート住宅に限られ、一般賃貸では審査の壁が残る。

国土交通省が2025年10月1日に始めた「認定家賃債務保証業者制度」で、認定事業者は2026年7月31日時点で12者となった。対象は、低額所得者、高齢者、障害者、子育て世帯、外国人などの住宅確保要配慮者が利用しやすい保証会社である。家主が入居を認めても、指定された保証会社との契約を結べなければ賃貸借契約へ進めない場合があるため、保証会社は住まいへの入口を左右する主体となっている。
国土交通省の調査資料では、高齢者、障害者に対して約7割、外国人に対して約6割の賃貸人が何らかの拒否感を示した。調査対象は日本賃貸住宅管理協会の会員187団体で、全国の家主全体を示す数字ではないが、入居制限の理由には、近隣との協調性、家賃支払い、居室内での死亡事故、習慣や言語の違いへの不安が挙げられた。こうした懸念が、家主や管理会社の判断だけでなく、保証契約の条件を通じて入居希望者に重なる場合がある。
認定制度では、居住サポート住宅に入居する要配慮者からの保証申込みを、正当な理由なく断らないことを要件とした。すべての要配慮者について、緊急連絡先を親族などの個人に限定しないこと、家賃債務の保証人を別に求めないこと、保証委託料を不当に高くしないこと、標準的な契約条件などを公表することも認定基準に含まれる。親族との関係が途絶えている人や、国内に親族がいない外国人にとって、緊急連絡先の条件は家賃の支払能力とは別の障壁であり、法人を連絡先にできる仕組みは入居可能性を広げる。
ただし、保証申込みを正当な理由なく断らない基準は、市区町村長などが認定した「居住サポート住宅」への入居に限られる。緊急連絡先、保証人、保証委託料に関する基準は、認定業者が契約するすべての要配慮者に適用されるが、一般の民間賃貸住宅で保証そのものを引き受ける義務までは定めていない。居住サポート住宅でも、家賃を支払う意思がない場合や、収入に比べて家賃が高く継続的な支払いが困難な場合などは、保証を断る「正当な理由」になり得る。認定制度は審査をなくす制度ではなく、属性だけによる排除を抑え、支援付き住宅で保証を利用できる経路を設けた制度である。
借主が認定業者を自由に選べるとは限らない点も残る。国土交通省のQ&Aは、不動産会社が利用する保証会社を決める実務を前提とし、入居希望者、家主、管理会社、居住支援法人などが認定業者の活用を申し出る流れを想定している。認定事業者が12者に増えても、地域や物件で利用できなければ入居審査は変わらない。国土交通省と自治体による制度検証では、認定数に加え、居住サポート住宅での保証契約数、拒否理由、緊急連絡先を法人で代替した件数、一般賃貸住宅での利用状況を確認する必要がある。
国土交通省「認定家賃債務保証業者制度」
URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000060.html
国土交通省「認定家賃債務保証業者一覧」
URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000064.html
国土交通省「認定家賃債務保証業者制度Q&A(令和8年6月19日時点)」
URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002007793.pdf
国土交通省「住宅セーフティネット制度の現状について」
URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001768348.pdf
国土交通省「住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律について」
URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk7_000054.html
