dinos「サステナビリティレポート2025」 社会貢献と人権DDをどう読むか

この記事のポイント

1.dinosが「健やかさ」「多様性」「自然環境」の3領域を軸とする「サステナビリティレポート2025」を公開した。
2.レポートでは世界の子どもへの給食支援などを紹介し、2025年度の取組状況をステークホルダー向けに整理している。
3.企業の社会貢献と人権デュー・ディリジェンスは同一ではなく、企業活動による「負の影響」を把握・防止・軽減する仕組みも別に確認する必要がある。

dinos、「サステナビリティレポート2025」を公開

株式会社dinosは8月7日、「サステナビリティレポート2025」をコーポレートサイトで公開した。同社が掲げる「サステナビリティビジョン2030」に基づき、「健やかさ」「多様性」「自然環境」の3領域を中心に2025年度の取組状況を整理したものだ。プレスリリースでは、「多様性」に関する取組として世界の子どもへの給食支援が累計119万人に達したこと、「自然環境」ではファッションブランド「So Close,」でサステナブル特集を展開したことなどを紹介している。

企業がサステナビリティ情報を開示することは、従業員、消費者、取引先、投資家などが企業活動を評価する材料を増やす。ただし、人権分野でレポートを読む際には、「社会に良い影響を与える活動」と「事業によって生じ得る人権への負の影響への対応」を分ける必要がある。寄付、社会貢献、環境配慮商品の販売、ダイバーシティ施策などは重要な活動だが、それだけで人権デュー・ディリジェンスを実施したことにはならない。

日本政府が2022年に策定した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」は、企業による人権尊重の取組を、人権方針の策定、人権デュー・ディリジェンス、救済という構造で整理している。人権デュー・ディリジェンスでは、自社や取引関係を通じて生じる人権への負の影響を特定・評価し、防止・軽減し、その実効性を評価し、対応状況を説明する。ここで見るのは「企業にとって何がリスクか」だけではなく、労働者、取引先の従業員、消費者、地域住民などの権利にどのような影響が及ぶかである。

したがって、dinosのサステナビリティレポートを人権面から評価する場合にも、掲載された社会貢献活動の数だけでは判断できない。重要なのは、同社が扱う商品の調達・製造・物流・販売や自社の雇用環境について、優先すべき人権課題をどのように特定しているか、問題が把握された場合に防止・是正する仕組みがあるか、影響を受けた人が相談・救済へアクセスできるかという点である。これは「レポートに記載がないから取組を行っていない」という意味ではない。公開情報と企業内部の対応を区別した上で、今後の情報開示が正の社会貢献に加えて負の影響の管理までどこまで示すかが、dinosのサステナビリティを人権面から読む際の確認事項となる。

出典

株式会社dinos「dinos、『サステナビリティレポート2025』を公開」
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001671.000003084.html

株式会社dinos「サステナビリティレポート」
URL:https://dinos-corp.co.jp/sustainability/report/

経済産業省「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」
URL:https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220913003/20220913003.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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