全国犯罪被害者支援フォーラム、こどもの性暴力と学校対応

この記事のポイント

1.全国犯罪被害者支援フォーラム2026が10月30日、「こどもの性暴力被害」をテーマに東京都千代田区で開かれる
2.学校で被害が判明した際の対応、二次被害、包括的性教育、被害からの回復、こどものSOSの受け止め方を扱う
3.12月25日のこども性暴力防止法施行を前に、相談、調査、保護・支援を学校内外の機関でつなぐ体制が問われる

犯罪被害者及びその家族の人権に配慮しよう

警察庁、公益社団法人全国被害者支援ネットワークなどは2026年10月30日、東京都千代田区の日経ホールで「全国犯罪被害者支援フォーラム2026」を開く。31回目となる今回は「こどもの性暴力被害」がテーマで、時間は午後1時から5時10分まで。会場参加450人、YouTubeライブ配信500人、11月20日から予定するアーカイブ配信500人を受け付ける。参加費は無料で、参加資格は設けない。いずれも事前申込みが必要で、期限は9月30日となる。

基調講演は、NPO法人性暴力被害者支援センター・ひょうご理事で産婦人科医の田口奈緒氏が担当する。演題は「学校で性暴力がおこったら~子どもたちを守る安全装置~」。本来、安全であるべき学校で性暴力事案が判明した場合の学校と関係機関の対応を説明し、性暴力の定義、二次被害、包括的性教育にも触れる。続く「被害者の声」では、声を聴きつなぐ会副代表の平野利枝氏が、被害が起きた背景、成人までの歩み、予防と支援、回復について講演する。

パネルディスカッションは「こどものSOSに向き合うために~話すこと、聞くこと~」を題に、田口氏が進行する。パネリストは、声を聴きつなぐ会代表で元教諭の大原康彦氏と、刑事コメンテーターの佐々木成三氏。主催者は、性暴力被害が進学、就職、将来設計に影響する場合がある一方、周囲の大人の知識不足や保護者の意向によって支援につながりにくいと説明している。フォーラム当日の質問は受け付けず、パネル討論への質問を申込フォームで事前に募集する。

学校でこどもが被害を訴えた際、最初に話を聞く教職員の言動は、その後の支援に影響する。相談内容を疑う、軽く扱う、何度も詳細を語らせる、本人の同意や安全を確認せず校内で情報を共有すると、相談行為そのものが新たな負担になり得る。文部科学省が2026年4月に改訂した基本指針は、相談内容を過少評価せず真摯に聴くこと、電話やSNSを含む複数の相談先を確保すること、警察や性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターと連携することを示している。

文部科学省の2024年度調査では、公立学校の教育職員134人が児童生徒性暴力等による懲戒処分を受けた。前年度の157人からは減少したが、この数字は教育委員会が把握して処分に至った事案の被処分者数であり、学校で起きた被害全体を示すものではない。こどもが行為を性暴力と認識できない、教職員との力関係から断れない、学校や家族への影響を恐れて話せない場合には、被害が表面化しないことがある。相談件数や処分件数の少なさだけで、安全性を判断することはできない。

2026年12月25日には、こども性暴力防止法が施行される。同法は、学校、認可保育所などの対象事業者に、従事者の特定性犯罪前科の確認だけでなく、こどもが相談しやすい体制、性暴力のおそれを早期に把握するための面談、職員研修、被害が疑われる場合の調査、被害児童の保護・支援を義務付ける。いわゆる「日本版DBS」の犯罪歴確認だけでは、現在進行中の不適切な行為や、こどもの小さな変化を把握できないためである。

2026年度から始まった第5次犯罪被害者等基本計画も、支援者による二次被害の防止、トラウマを踏まえた対応、多機関によるワンストップ支援、民間被害者支援団体との連携を掲げる。全国犯罪被害者支援フォーラム2026では、学校での発見と初動、被害を受けた本人の経験、警察・医療・教育の連携を同じプログラムで扱う。全国被害者支援ネットワークと警察庁は9月30日まで、会場、ライブ配信、アーカイブ配信の参加申込みを受け付ける。

出典

公益社団法人全国被害者支援ネットワーク「10/30(金)全国犯罪被害者支援フォーラム2026 開催・最新情報」
URL:https://www.nnvs.org/news/forum2026/

公益社団法人全国被害者支援ネットワーク「全国犯罪被害者支援フォーラム2026 概要」
URL:https://www.nnvs.org/wp-content/uploads/2026/07/342860b4d9a6df0a4c5aec13bcc4fdd8.pdf

警察庁「全国犯罪被害者支援フォーラム」
URL:https://www.npa.go.jp/higaisya/renkei/forum.html

文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」
URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinji/1411820_00009.htm

文部科学省「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」
URL:https://www.mext.go.jp/content/20260424-mxt_kyoikujinzai02-000011979_03.pdf

こども家庭庁「こども性暴力防止法」
URL:https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou

警察庁「第5次犯罪被害者等基本計画」
URL:https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/kihon_keikaku/5th_bp.pdf

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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