サウジで比女性家事労働者を搾取 19人が性暴力証言

この記事のポイント

1.アムネスティが、サウジアラビアで働いたフィリピン人女性19人の証言を報告書にまとめた。
2.1日14~21時間の労働、休日の不在、パスポート没収、性暴力などが報告された。
3.雇用主に転職や出国を左右されるカファラ制度と、家事労働者を労働法の対象外とする制度が被害の背景にある。

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アムネスティ・インターナショナル日本は2026年7月28日、サウジアラビアで働いたフィリピン人女性家事労働者への長時間労働、搾取、屈辱的な扱い、性暴力を報告した。国際事務局が7月9日に公表した調査報告書は、主に2023年から2026年に帰国した19人への聞き取りに基づく。女性たちは雇用主宅に入った後、契約で示された仕事内容や労働条件が守られず、雇用主の判断に生活全体を左右されたと証言した。

聞き取りでは、1日14時間から21時間の労働、昼食休憩や休日の不在、契約にない複数世帯での家事が語られた。2年間に一度も休日がなかった女性や、5世帯を毎日移動して働いた女性もいた。パスポートの没収、外出の制限、食事を十分に与えない行為も報告され、男性雇用主や親族からセクシュアルハラスメント、性的暴行を受けたとの証言も複数あった。アムネスティは、深刻な事例の一部は強制労働に当たり、労働搾取を目的とする人身取引に該当する可能性があると分析した。

サウジアラビアには400万人を超える家事労働者がいる。外国人家事労働者は国内労働法の適用外で、2023年の家事労働者規則が労使関係を定める。規則は従来より改善されたものの、アムネスティは一般の労働者と同等の保護を保障していないと指摘する。雇用主が移住労働者の身元保証人となるカファラ制度も、転職や出国を雇用主の同意に結び付け、虐待から離れる選択を狭める仕組みとして残る。

ILOの家事労働者条約(第189号)は、合理的な労働時間、少なくとも連続24時間の週休、雇用条件の明示、募集過程での権利保障などを定める。フィリピンは同条約を批准しているが、サウジアラビアは批准していない。今回の問題は、契約違反だけでなく、女性、移住労働者、人種・国籍、家庭内という外部から見えにくい就労場所が重なり、被害申告や救済へのアクセスを困難にする構造にある。

サウジアラビア政府はアムネスティに対し、標準契約、賃金保護制度、保険、苦情処理、虐待時の転職手段を整備し、申立てを調査していると回答した。ただし、制度の実施状況を示すデータや詳細な質問への回答は示さなかった。アムネスティは、性暴力を含む申立ての捜査、加害者の訴追、実効的な査察、家事労働者への労働法適用、カファラ制度の撤廃をサウジアラビア政府に要請し、フィリピン政府にも募集業者の監督と帰国・救済支援の強化を促している。

出典

アムネスティ・インターナショナル日本「サウジアラビア:フィリピン人家事労働者への搾取と性暴力」
URL:https://www.amnesty.or.jp/news/2026/0728_11050.html

参考資料 Amnesty International「“Once we step in their homes, we are no longer human”: Testimonies of Filipino domestic workers in Saudi Arabia」
URL:https://www.amnesty.org/en/documents/MDE23/1197/2026/en/

参考資料 国際労働機関「家事労働者条約(第189号)」
URL:https://normlex.ilo.org/dyn/nrmlx_en/f?p=NORMLEXPUB:12100:0::NO::P12100_INSTRUMENT_ID:2551460

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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