1.外国人区民の61.2%が日本語で困ることがあり、在住5年未満では8割を超えた。
2.外国人相談窓口を知らない人は54.9%、避難所を知らない人は21.8%だった。
3.地域で共に暮らせていると考える割合は、外国人80.4%、日本人52.9%と差が生じた。

足立区は7月15日、次期「足立区多文化共生推進計画」の策定に向けて2025年9月から10月に実施した区民意識調査の概要版を公表した。調査対象は18歳以上の外国人区民3,000人と日本人区民2,000人で、外国人989人、日本人986人から回答を得た。外国人向けの郵送調査票は、日本語のほか英語、中国語(簡体字)、韓国語、タガログ語、ベトナム語で作成した。
外国人区民の61.2%は、日本語について困ることが「ある」または「ときどきある」と回答した。日本での在住期間が1年未満では81.8%、1年以上5年未満では84.4%に達する。足立区役所の外国人相談窓口を「知らない」は54.9%で、居住1年未満では65.7%だった。生活上の困難を抱えやすい転入初期の層ほど、支援窓口へつながりにくい状況が数値に表れている。
災害対応にも情報格差がみられた。外国人の50.6%は区内の防災訓練を知らず、21.8%は避難所を知らないと答えた。防災への備えでは、避難時に必要な物を準備している割合が外国人37.5%、日本人57.8%、避難所の場所を確認している割合が外国人25.8%、日本人41.7%だった。災害情報や避難行動を理解できる言語で届けることは、国籍にかかわらず生命と安全を守る行政サービスの基盤となる。
地域での共生に対する認識には、回答者の属性によって大きな差があった。「日本人と外国人が互いに認め合い、地域社会の一人として暮らしている」と思う外国人は80.4%だったのに対し、日本人は52.9%にとどまった。日本人調査では、外国人の居住を「好ましくない」「どちらかといえば好ましくない」とした割合が24.2%で、20代では39.8%だった。外国人の85.8%が足立区に住み続けたいと答えたことを合わせると、定住意向の高さと受け入れ側の認識の間に隔たりがある。
足立区は2006年3月に多文化共生推進計画を策定し、施策の実施状況を毎年度確認してきた。今回の調査では、外国人の地域活動への参加意向は64.4%に上り、相談窓口や防災訓練の認知度とは異なる傾向を示した。参加意欲が低いと一括して捉えるのではなく、情報の届き方、参加方法、言語環境を分けて検討する必要がある。インターネット回答用フォームが日本語版のみだった点も、次回調査で回答機会を広げる際の検討材料になる。足立区地域調整課多文化共生担当は、今後公表する報告書本編と次期計画で、61.2%の日本語上の困難と54.9%の相談窓口未認知を具体的な施策へ結びつけることになる。
足立区「足立区多文化共生推進計画策定に向けた区民意識調査の報告」
URL:https://www.city.adachi.tokyo.jp/chiiki/ku/kuse/tabunka_ishikichousa.html
足立区「足立区多文化共生推進計画策定に向けた区民意識調査報告書(概要版)」
URL:https://www.city.adachi.tokyo.jp/documents/76749/japanese_plan_report.pdf
