1.福岡県は、担当する生活保護受給者に性的な内容のショートメッセージを送った30歳の男性職員を停職4月とした。
2.行為が確認されたのは2025年12月頃と2026年3月6日で、県はセクシュアル・ハラスメントに当たると判断した。
3.行政サービスの担当者と受給者との関係で起きた事案であり、被害者の尊厳だけでなく、福祉制度へ安心して相談できる環境にも関わる。

福岡県は2026年7月24日、保健医療介護部の出先機関に勤務する30歳男性の一般職員(主任主事)を、セクシュアル・ハラスメントを理由に停職4月とした。県によると、職員は2025年12月頃と2026年3月6日、担当する生活保護受給者に性的な内容のショートメッセージを送るなどした。公表資料は、メッセージの具体的内容、送信回数、県が事案を把握した経緯、被害を受けた人への支援について明らかにしていない。
福岡県の「懲戒処分の指針」は、相手の意に反すると認識しながら、性的な内容の電話、手紙、電子メールの送付、身体的接触、つきまといなどを繰り返した職員を、免職、停職または減給の対象としている。単発の性的言動も、停職、減給または戒告の対象となる。今回の停職4月は指針が定める処分範囲に含まれるが、県はどの区分を適用し、行為の態様や悪質性をどのように評価したかまでは公表していない。
県は本件を「セクシュアル・ハラスメント行為」として公表した。ただし、職員が受給者の連絡先をどのように把握したか、県支給端末と私用端末のどちらを用いたか、勤務時間内の送信だったかは記載していない。このため、公表資料だけから、個人情報の目的外利用や職権の不当な行使まで認定されたと読むことはできない。確認できるのは、職務上担当していた生活保護受給者に対し、少なくとも2つの時期に性的な内容のメッセージを送るなどした事実である。
本件は、職員同士の職場内セクハラではなく、行政サービスを受ける県民に対して担当職員が性的な言動を行った事案である。生活保護受給者にとって、担当職員との連絡は、生活状況の相談や必要な手続につながる行政上の接点となる。その関係で性的なメッセージを受ければ、本人の尊厳が傷つけられるだけでなく、担当者への相談をためらい、福祉制度の利用を萎縮させる可能性がある。問題はメッセージの内容にとどまらず、職務を通じて形成された関係の中で行われた点にある。
福岡県が第27回県職員倫理審査会に提出した資料によると、2024年度に知事部局で懲戒処分を受けた8人のうち、セクシュアル・ハラスメントによる処分者は2人だった。過去15年間の処分についても、セクシュアル・ハラスメントを含む性的非行が最も多い類型と整理されている。今回の事案は、県が懲戒処分の指針を定め、研修や周知を進める中で発生した。
再発防止では、一般的なハラスメント研修だけでなく、福祉行政の業務特性に応じた対策が必要となる。担当業務で把握した電話番号などの利用範囲、職員と受給者との私的なメッセージ交換を防ぐ連絡方法、被害の申告を受けた後に担当職員を速やかに分離する手順を明確にしなければ、受給者側に相談を控えさせる結果を招きかねない。
福岡県の公表資料からは、被害を受けた人への謝罪や相談支援、担当変更の有無、管理監督者への措置は確認できない。県は、生活保護受給者が不利益を懸念せず相談を継続できるよう、保健医療介護部の出先機関で講じた被害者保護と再発防止の内容を具体的に説明する必要がある。
福岡県「職員の処分について」
URL:
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/293666.pdf
参考資料
福岡県「懲戒処分の指針」
福岡県「第27回福岡県職員倫理審査会」
URL:
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/764167_62445800_misc.pdf
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/787458_62636343_misc.pdf
