1.ヒューマンライツ・ナウの韓国デジタル性暴力調査が、毎日新聞の記事で紹介された。
2.調査は、韓国の法規制、削除支援、被害者支援、プラットフォーム規制を現地機関への訪問を通じて整理した。
3.報告書は、日本に対し、デジタル性暴力を処罰する法改正、公的削除支援体制、事業者責任の明確化を提言している。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは2026年7月8日、同団体が韓国で実施したデジタル性暴力対策に関する調査が、毎日新聞の記事「性暴力コンテンツ野放しの日本 『雲泥の差』韓国の削除対応とは」で紹介されたと公表した。HRNは、2025年9月に韓国でデジタル性暴力の法規制や被害者支援に関する現地調査を行い、その結果を報告書にまとめている。
報告書の題名は「韓国におけるデジタル性暴力の法規制・支援体制に関する調査報告書」。HRNは、韓国におけるデジタル性暴力の法規制、処罰、被害者支援、プラットフォーム等事業者への規制について、事前の法制度調査に加え、関係機関への訪問を通じて制度の仕組みと実効性を調べた。調査期間は2025年9月23日から26日までの4日間で、ソウル市内の警察関係者、韓国放送メディア通信審議委員会、犯罪被害者ワンストップソリューション支援センター、ソウル市デジタル性犯罪安心支援センター、韓国女性人権振興院、中央デジタル性犯罪被害者支援センター、国家人権委員会、韓国女性の電話などを訪問した。
デジタル性暴力とは、デジタル機器や情報通信技術を用いて、同意のない撮影、性的画像の流布、流布の脅迫、保存、展示、性的ディープフェイク、セクストーションなどを行う被害を指す。報告書は、韓国で2010年代後半以降、スマートフォンやオンラインプラットフォームの普及に伴って被害が拡大し、2020年に摘発された「n番部屋事件」を契機に、刑事規制、被害者支援、行政措置を含む包括的な対応が進んだと整理している。
日本について、報告書は、2014年のリベンジポルノ防止法、2022年のAV出演被害防止・救済法、2023年の性的姿態撮影等処罰法を挙げつつ、インターネット上の性暴力被害はAVや盗撮に限らず広範に及び、処罰範囲や被害救済の面で課題が残ると指摘している。ディープフェイクポルノやセクストーションは子どもを標的とする被害としても深刻化しているとし、韓国の制度を日本の制度設計の参考にする必要があると位置付けた。
人権上の論点は、被害画像や映像が一度インターネット上に出ると、国境を越えて複製・拡散され、被害者の性的自己決定、プライバシー、人格権、生活の平穏を継続的に侵害する点にある。削除支援が遅れれば、被害は「投稿された時点」では終わらない。報告書は、日本では被害者支援が民間団体に依存している一方、韓国では公的機関が削除支援や相談、カウンセリングなどを担う体制があるとして、両国の制度差を強調している。
提言では、日本政府に対し、デジタル性暴力を明確に処罰する法改正、児童ポルノ処罰法の見直し、デジタル性暴力根絶のための方針・計画の策定、公的相談機関と削除支援体制の整備、学校での予防教育の強化、プラットフォーム事業者に対する迅速な削除・遮断義務の導入、先端技術への投資、国際協力への参加を求めた。HRNの今回のメディア掲載情報は、韓国調査の報告書を、日本の法制度と被害者支援の遅れを検討する材料として改めて提示するものとなっている。
ヒューマンライツ・ナウ「〖メディア掲載情報〗『性暴力コンテンツ野放しの日本 「雲泥の差」韓国の削除対応とは』」
URL:https://hrn.or.jp/media/29232/
ヒューマンライツ・ナウ「韓国におけるデジタル性暴力の法規制・支援体制に関する調査報告書」
URL:https://hrn.or.jp/wpHN/wp-content/uploads/2026/04/3c9c020ec3337ed684f2ef43e5e6b6e0-1.pdf
毎日新聞「性暴力コンテンツ野放しの日本 『雲泥の差』韓国の削除対応とは」
URL:https://mainichi.jp/articles/20260706/k00/00m/040/280000c
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