川崎市「朝の居場所」、小学校3校でモデル開始

この記事のポイント

1.川崎市教育委員会事務局が、小学生の「朝の居場所づくり」モデル事業を7月6日に市内3校で始めた。
2.新小倉小学校、久本小学校、犬蔵小学校で、始業前の午前7時30分頃から8時10分頃まで児童を受け入れる。
3.初日の利用児童数は3校合計113人で、川崎市は秋頃を目途に残り4区での開始も予定している。

川崎市役所の画像

川崎市教育委員会事務局は令和8年7月6日、小学生の「朝の居場所づくり」モデル事業を、幸区の市立新小倉小学校、高津区の市立久本小学校、宮前区の市立犬蔵小学校で開始した。朝の時間に子どもだけで過ごすことに不安を感じる家庭のニーズに対応し、保護者の安心と子どもの安全を守るため、地域の人材を活用して小学校の始業前から児童を受け入れる事業である。

開設時間は学校課業日の平日午前7時30分頃から8時10分頃までで、土曜、日曜、祝日、夏季休業などの長期休業期間中は開設しない。利用対象は、朝の居場所が開設されている学校に在籍する児童のうち利用を希望する家庭の児童で、事前登録は不要、利用料も無料とされている。児童は学校を通じて配布される「利用カード」を持参し、図書室などの落ち着いた環境で読書や自習、見守りスタッフとの会話などをして過ごす。

先行3校の運営は地域団体が担っている。新小倉小学校は2階メディアセンターで実施され、運営はNPO法人はたらくらす(代表理事・石渡裕美氏)。久本小学校は1階図書室で実施され、運営はNPO法人高津区総合型スポーツクラブSELF(理事長・菊地正氏)。犬蔵小学校は1階図書室で実施され、運営はいぬくら子ども文庫(主宰・渡部康夫氏)が務める。なお犬蔵小学校では、7月14日から10月末まで校舎工事に伴い特別活動室で朝の居場所を開設する。

開設初日の利用児童数は、新小倉小学校43人、久本小学校41人、犬蔵小学校29人で、3校合計113人だった。学年別では1年18人、2年21人、3年19人、4年30人、5年10人、6年15人となっている。川崎市の発表資料には、登校中に友達と待ち合わせて昇降口が開くまで過ごした児童の声や、仕事の時間に合わせて家を早く出る保護者の声も紹介されている。

人権の観点から見ると、この事業は単なる早朝預かりにとどまらず、子どもの安全、学習への接続、保護者の就労時間との調整を同時に扱う施策といえる。家庭の勤務形態やきょうだいの送迎事情によって、登校前の時間を子どもだけで過ごさざるを得ない場合がある。学校の管理下外の時間帯に、地域団体と教育委員会が見守りの場を設けることは、家庭環境の差が登校前の安全や心理的安定に直結しないようにする取組だと位置づけられる。

ただし、川崎市教育委員会の関連ページでは、朝の居場所において声かけや見守りは行うものの、個別の専門的・医療的な対応はできないと明記されている。体調不良時の利用を控えること、急な体調不良の際には利用カード記載の緊急連絡先へ連絡すること、必要に応じて学校等と情報共有することも示されている。安全な居場所として運営していくためには、見守りスタッフ、学校、教育委員会事務局地域教育推進室の役割分担を、保護者に分かりやすく伝えていく必要がある。

川崎市は令和8年度、各区1校でモデル事業を実施し、秋頃を目途に川崎区、中原区、多摩区、麻生区でも開始する予定としている。市内全115小学校での設置に向けては、先行3校の利用状況や児童の過ごし方、地域団体による運営体制を検証しながら、教育委員会事務局地域教育推進室が開設校を順次拡大していく方針である。

出典

川崎市「【報道発表資料】小学生の『朝の居場所づくり』モデル事業を市内の3校で開始しました」、川崎市教育委員会「『朝の居場所づくり』事業について」
URL:https://www.city.kawasaki.jp/templates/prs/880/0000188545.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

人権ニュース編集部をフォローする
教育福祉
シェアする
タイトルとURLをコピーしました