1 福岡県人権啓発情報センターで7月18日から、第61回特別展「人権の現在地」が開かれる。
2 部落問題、貧困、移民、こども、若年女性、複合差別、戦争の7テーマを有識者が論じる。
3 個別の差別課題を切り離さず、複数の属性や社会制度が重なる場面まで考える展示となる。

福岡県は7月18日から10月25日まで、第61回特別展「人権の現在地―社会を読み解く7つの視点―」を春日市のクローバープラザ7階で開く。主催は福岡県と公益財団法人福岡県人権啓発情報センターで、同センターが企画した。開館時間は午前9時から午後5時まで。入場料は大人200円、高校・大学生100円で、中学生以下と65歳以上などは無料となる。
展示は、権利の基礎や世界人権宣言を紹介する「人権ってなに?」、差別や分断、孤立、戦争などを扱う「人権の現在地」、当事者の経験や特色ある教育実践を示す「人権/誰かのことじゃない」の3部で構成する。個別の制度や事件だけを並べるのではなく、歴史的な経緯と現在の社会状況、日常生活との接点を順にたどる内容だ。
中心となるのは、7人の有識者による論考である。部落問題はBURAKU HERITAGEメンバーの上川多実氏、排除と貧困はつくろい東京ファンド代表理事の稲葉剛氏、外国人・移民問題は東京大学准教授の高谷幸氏が担当する。こども・教育は同センター館長の谷口研二氏、若年女性の孤立は筑紫女学園大学准教授の大西良氏、複合・交差性差別は福岡ジェンダー研究所理事で西南女学院大学教授の倉富史枝氏、戦争・平和は作家・哲学者の永井玲衣氏が論じる。
この構成が示すのは、7テーマを互いに独立した問題として扱わない姿勢である。生活困窮は住居や就労、教育機会へのアクセスに影響し、性別、出身、国籍、年齢などの条件が重なる場面では、不利益の現れ方も変わる。複合・交差性差別を独立した項目に設けたことで、「どの属性に属する人か」だけでなく、複数の制度や慣行が重なったときに、生活上の障壁がどのように生じるかを考えられる。
同センターの第60回特別展は、学校におけるDE&Iを主題とし、教育現場の「あたりまえ」を問い直した。第61回展は対象を社会全体へ広げ、歴史的差別、生活困窮、移民、教育、ジェンダー、戦争を一つの会場で扱う。テーマを広げれば各論が薄くなる可能性もあるが、「権利の基礎」「現在の課題」「当事者や実践例」の順に展示を組むことで、理念と具体的な生活課題をつないでいる。
メインビジュアルは、海を進む折り紙の船と、船に積まれた多面体で構成する。デザインを担ったFASONI DESIGNと同センターは、船を社会を航海する人々、多面体を一人ひとりの権利の象徴として説明している。福岡県人権啓発情報センターは第61回特別展を通じ、来館者が7分野の論考を読み比べ、自身の暮らしと社会制度との接点を確かめる場を設ける。
福岡県人権啓発情報センター「第61回特別展『人権の現在地―社会を読み解く7つの視点―』を開催します」
URL:https://www.fukuokaken-jinken.or.jp/news/detail/228
参考 福岡県人権啓発情報センター「第61回特別展チラシ」
URL:https://www.fukuokaken-jinken.or.jp/files/NewsDetail/NewsDetail_1086_file.pdf
参考 福岡県人権啓発情報センター「特別展」
URL:https://www.fukuokaken-jinken.or.jp/introductions/event.html

