姫路市、女子児童優先の電気工作講座 防災テーマに理工系体験

この記事のポイント

1.姫路市が8月9日、小学4~6年生と保護者を対象に、懐中電灯とランタンを作る電気工作講座を開く。
2.定員は15組30人で、応募多数の場合は姫路市内在住・在学者と女子児童を優先する。
3.女子の理工系進路を狭める固定観念を和らげ、性別に左右されない学習・進路選択につなげる狙いがある。

中谷 敬子さん(NPO法人メイカーズクラブ代表)

姫路市男女共同参画推進センター「あいめっせ」は2026年8月9日午後1時30分から3時30分まで、イーグレひめじ4階セミナー室Aで、男女共同参画啓発セミナー「もしもに備える!手づくり懐中電灯とランタンを作ろう」を開く。小学4年生から6年生までの児童と保護者を対象とした電気工作講座で、参加申込は7月26日まで受け付ける。

講師は、NPO法人メイカーズクラブ代表の中谷敬子さん。児童は災害時にも使えるオリジナルの懐中電灯とランタンを製作し、完成品を持ち帰る。中谷さんは防災士の資格を持ち、工作に加えて地震クイズや地震の「揺れ」を再現する実験も行う。電気の仕組みを学ぶ理工系体験と、停電や地震への備えを一つの講座で扱う内容となっている。

定員は保護者を含む15組30人で、参加費は無料。ただし、児童1人につき材料費600円がかかる。応募多数の場合は抽選となり、姫路市内に在住・在学する児童と女子児童を優先する。満1歳から就学前までの幼児を対象とする一時保育も設け、1人300円で利用できる。保護者は児童1人につき1人の同伴が原則で、兄弟姉妹が当選した場合は、安全に見守れる範囲で同じ保護者が付き添うこともできる。

女子児童を抽選で優先する措置には、理工系分野への参加機会に残る男女差を縮める意図がある。内閣府の2025年版男女共同参画白書によると、2021年に大学などの高等教育機関でSTEM分野に入学した学生に占める女性の割合は、日本では「自然科学・数学・統計学」が27%、「工学・製造・建築」が16%で、いずれも比較可能な36カ国中で最も低かった。これに対し、日本の15歳女子の科学的・数学的リテラシーは国際的にも高い水準にあり、能力だけでは進路の偏りを説明できない。

男女共同参画社会基本法は、男女間の参画機会の格差を改善するため、必要な範囲で一方の性に機会を積極的に提供する「積極的改善措置」を定めている。今回の講座は男子児童を排除せず、テーマに関心を持つ児童全体を対象とした上で、抽選時に女子児童を優先する構成を採った。形式的に同じ機会を示すだけでなく、「電気工作は男子向け」「女子は理工系が苦手」といった周囲の思い込みが選択肢を狭めないよう、体験への入口を補う施策と捉えられる。

工作や実験を一度体験しただけで進路が決まるわけではない。ただ、小学生の段階で工具や電気回路に触れ、保護者も同じ場で活動を見ることは、児童自身の関心と周囲の固定観念を見直す材料になる。姫路市男女共同参画推進センター「あいめっせ」が実施する8月9日の講座は、防災という生活に近い課題から、児童が性別にかかわらず理工系分野を選べる可能性を具体化する催しとなる。

出典

姫路市「男女共同参画啓発セミナー(4)『もしもに備える!手づくり懐中電灯とランタンを作ろう』」
URL:https://www.city.himeji.lg.jp/kurashi/0000033199.html

内閣府男女共同参画局「地域における『理工チャレンジ(リコチャレ)』の推進」
URL:https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r07/zentai/html/column/clm_03.html

内閣府男女共同参画局「理工チャレンジ(リコチャレ)」
URL:https://www.gender.go.jp/c-challenge/

内閣府男女共同参画局「男女共同参画社会基本法逐条解説」
URL:https://www.gender.go.jp/about_danjo/law/kihon/chikujyou02.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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