千葉県児相の第三者評価、市川・銚子で結果公表 一時保護の小規模化など課題

この記事のポイント

1.千葉県は5月22日、市川児童相談所と銚子児童相談所で実施した令和7年度第三者評価の結果を公表した。
2.市川児相では関係機関連携や子どもの意見表明機会が評価される一方、職員育成や一時保護所の小規模化が課題とされた。
3.銚子児相では丁寧な訪問援助や学習支援が評価され、業務点検の仕組みや一時保護部門の事業計画づくりが課題となった。

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千葉県健康福祉部児童家庭課は5月22日、令和7年度に市川児童相談所と銚子児童相談所で実施した第三者評価の結果を公表した。対象は、市川児童相談所の相談部門・一時保護部門、市川児童相談所船橋支所の相談部門、銚子児童相談所の相談部門・一時保護部門。評価業務は、福祉サービス第三者評価機関の一般社団法人Riccolab.が担当した。

第三者評価は、児童相談所の業務の質を確認し、改善点を把握するために行われる。千葉県は、令和元年改正児童福祉法で、都道府県知事が児童相談所業務の質の評価などにより質の向上に努めるとされたことを踏まえ、令和2年度から各児童相談所でおおむね3回に1回の期間で評価を実施している。今回も、職員の自己評価、措置児童へのアンケート・聞き取り、関係機関へのアンケート、援助方針会議へのオブザーバー参加、訪問調査などを組み合わせた。

市川児童相談所の相談部門では、市町村や関係機関との連携が評価された。在宅指導、一時保護、施設入所、里親委託、家庭復帰などの各段階で、ケース情報を共有し、役割分担に応じた支援を進めている点が挙げられた。遠方の市町村にも複数回出向き、窓口申請に立ち会うなど、家族支援を具体的に行っている。一方で、職員一人ひとりの学びの成果、習熟度、経験値を客観的に把握する仕組みは十分でないとされ、職員育成をどう可視化するかが課題となった。

市川児童相談所の一時保護部門では、今年度から定例の「こども会議」を始めた点が評価された。日記、生活アンケート、職員による聞き取り、意見箱、子どもアドボカシー制度に加え、小学生男女別、中学生男女別など年齢や嗜好の近い小グループで話し合う機会を設けている。子どもが生活ルールや自由時間の過ごし方について意見を伝える場を増やした形である。一方、年間を通して定員の2倍程度の子どもを受け入れている状況が示され、生活単位の小規模化やユニット化に向けた中長期計画が課題とされた。2026年7月には船橋市児童相談所が開設され、定員30人の一時保護所が始まるため、約半数の子どもが移行する想定も記載された。

市川児童相談所船橋支所の相談部門では、児童相談員によるインテークの精度が評価された。相談依頼を受けた段階でケースの概要を把握し、所内に分かりやすく伝えることで、ケースごとの介入が円滑に進んでいるとされた。保護者との相談や指導でも同意確認を積極的に行い、分離後も家庭復帰につなげようとする姿勢が維持されている。一方、指導教育担当児童福祉司、いわゆるSVの安定配置が課題となった。難しい案件の判断やOJTに時間を要する場面があり、業務効率化の面からも配置体制の整備が必要とされた。

銚子児童相談所の相談部門では、援助開始から終結まで、家庭や措置先を頻回に訪問している点が評価された。児童福祉司や心理司が里親宅、措置施設、在宅指導家庭を訪問し、「顔の見える関係」を重視している。自立支援計画の見直し時期には、措置先で子どもの意向と援助者の意見を確認し、新たな里親委託や施設措置でも事前説明、見学、体験宿泊に立ち会っている。改善点としては、手書き文書からデータ入力への移行や電話音声のデータ変換を進める一方、業務手順や非効率な領域を定期的に点検する仕組みが十分でないとされた。

銚子児童相談所の一時保護部門では、子どもの学力や学習習慣に応じた学習指導が評価された。入所時に学力テストを行い、得意・不得意に応じた学習計画を立て、学習指導非常勤職員と生活指導員が漢字練習プリント、計算ゲームワークシート、英語学習などで学習意欲を高めている。登校できない子どもには、在籍校から教材を持ち込んだ学習も行っている。課題としては、職員の業務分担や年間予定表はあるものの、養育・支援の基本方針や年度重点目標を明示する単年度の事業計画書を整え、職員間で養育観を共有する仕組みが必要とされた。

人権上の論点は、児童相談所の業務の質が、虐待対応や一時保護を受ける子どもの生活そのものに直結する点にある。子どもの意見表明、家庭復帰への支援、学習保障、里親・施設との調整は、いずれも子どもを保護対象として扱うだけでなく、生活と将来を持つ主体として支えるための仕組みである。今回の評価結果は、市川児童相談所、船橋支所、銚子児童相談所それぞれの強みを確認すると同時に、職員育成、SV配置、一時保護環境、業務点検、事業計画づくりという運営面の課題を明確にした。

出典

千葉県「令和7年度市川児童相談所及び銚子児童相談所における第三者評価の実施結果について」
URL: https://www.pref.chiba.lg.jp/jika/press/2026/r7daisansyahyouka.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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