熊本地震、LGBTQ避難支援に課題 「くまにじ」が相談体制構想

この記事のポイント

1.JOICFPは熊本地震後、LGBTQ・SOGIに関する活動を行う「くまにじ」の関係者から災害時の課題を聞き取った。
2.避難所を利用しにくい人、月経用品を受け取りにくいトランスジェンダー当事者、医療継続に支障が生じる人など、通常の避難支援では見えにくいニーズがある。
3.性的指向や性自認を本人の意思に反して明らかにせず、必要な物資・相談・医療へ接続できる避難所設計が課題となる。

【令和8年熊本地震 現地レポート】 熊本YWCA・くまにじ 吉村千恵さんとのミーティング

公益財団法人ジョイセフ(JOICFP)は2026年8月25日、熊本地震後のLGBTQ・SOGIに関する支援について、熊本YWCAや「くまにじ」で活動する吉村千恵氏らへの聞き取りを紹介した。「くまにじ」は熊本県内のLGBTQ当事者や支援者らによる活動で、地震後にはLINEなどを通じて安否を確認した。今後、複数のスタッフによって相談に対応する「くまにじSOSライン」の開設も構想しているという。

災害時には、指定避難所へ行けばすべての被災者が同じように生活できるとは限らない。JOICFPの報告では、周囲との関係やプライバシーへの不安から避難所を利用しにくいLGBTQ当事者がいること、トランスジェンダーの人が月経用品を受け取りにくい場合があること、トイレや着替え場所に困る可能性などが指摘された。医療機関の被災や交通手段の喪失によって、ホルモン治療など継続的な医療へのアクセスが不安定になる問題もある。

対応が難しい理由の一つは、支援対象を把握しようとして性的指向や性自認を申告させれば、本人が望まない形で周囲へ知られる「アウティング」につながる危険があることだ。属性の申告を前提とするのではなく、誰でも利用できるトイレにも月経用品を置く、個別に相談できる空間を用意する、着替え場所の選択肢を増やすといった方法なら、本人が自らの属性を明らかにせず利用できる。特定の人だけへの特別扱いではなく、避難所全体を利用しやすくする設計として考えられる。

内閣府は避難所運営について、性的マイノリティへの配慮に関する自治体の取組状況を調査するとともに、避難所以外で生活する在宅避難者や車中泊避難者も含めた支援の手引きを整備している。避難所へ来ない人を「支援不要」とみなさず、行政、地域団体、医療機関などが複数の経路で情報と支援を届けることが重要になる。「くまにじ」が構想するSOSラインについても、相談内容の秘密保持、専門機関への接続、長期化する生活再建期にも利用できる運営体制をどのように確保するかが実施時の確認点となる。

出典

JOICFP「令和8年熊本地震 現地レポート LGBTQ/SOGI支援」
URL:https://www.joicfp.or.jp/jpn/2026/08/25/59655/

内閣府「避難所の生活環境対策」
URL:https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/index.html

人権ニュース編集部

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