SOGIとは、性的指向を意味するSexual Orientationと、ジェンダーアイデンティティを意味するGender Identityの頭文字を取った言葉です。人権ニュースでは、制度、判例、行政施策、地域の啓発活動などを理解するうえで重要な用語として扱います。
1.SOGIの意味
SOGIは、「ソジ」または「ソギ」と読まれることがあります。Sexual Orientationは性的指向を意味し、恋愛感情や性的感情がどの性別に向かうのか、または向かわないのかに関わる概念です。Gender Identityはジェンダーアイデンティティを意味し、自分の性別をどのように認識しているかに関わる概念です。
SOGIは、性的マイノリティだけを指す言葉ではありません。異性愛の人にも性的指向があり、生まれた時に割り当てられた性別と自分の性別認識が一致している人にもジェンダーアイデンティティがあります。そのため、SOGIはすべての人が持つ性のあり方を整理するための言葉です。
LGBTQ+が、性的マイノリティの人々を示す言葉として使われることが多いのに対し、SOGIは多数派・少数派を問わず、すべての人の性的指向とジェンダーアイデンティティを含みます。人権施策や職場研修では、特定の人だけへの配慮ではなく、誰もが尊重される環境づくりを考える言葉として使われます。
2.制度・法律との関係
SOGIと関係が深い法律が、性的マイノリティ理解増進法です。正式名称は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律です。同法は、性的指向を「恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向」と定義し、ジェンダーアイデンティティを「自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識」と定義しています。
この法律は、性的指向やジェンダーアイデンティティの多様性について国民の理解を増進するための理念法です。国、地方公共団体、事業主、学校の設置者などに対し、理解を深めるための情報提供、研修、相談体制の整備、教育環境の整備などに努めることを求めています。
職場では、SOGIに関する言動がハラスメントとして問題になる場合があります。性的指向やジェンダーアイデンティティに関する侮辱的な言動、本人の同意なく情報を暴露するアウティング、性別役割分担意識に基づくからかいなどは、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント、職場環境配慮義務の問題と結びつきます。
学校、自治体、医療、福祉、災害対応の場面でも、SOGIへの理解は重要です。制服、名簿、トイレ、更衣室、相談窓口、申請書類、パートナーに関する扱いなど、制度や運用の細部が、本人の安心や尊厳に影響することがあります。
3.人権上の論点
SOGIの人権上の論点は、性的指向やジェンダーアイデンティティが、本人の尊厳、プライバシー、自己決定、安全、社会参加に深く関わる点にあります。誰を好きになるか、自分の性別をどう認識するかは、他人から否定されたり、からかわれたり、勝手に暴露されたりしてよい情報ではありません。
特に重要なのは、SOGIを「一部の人だけの問題」として扱わないことです。多数派とされる人にもSOGIはあります。したがって、SOGIに関する人権課題は、性的マイノリティへの特別な配慮というより、すべての人が自分の性のあり方を理由に不利益を受けないための課題として捉える必要があります。
一方で、SOGIに関する施策では、本人の同意やプライバシーへの配慮が不可欠です。相談対応、学校での支援、職場での配慮、医療・福祉現場での情報共有では、本人が誰に、どこまで情報を伝えたいのかを確認する必要があります。善意の支援であっても、本人の同意なく情報を共有すれば、アウティングにつながるおそれがあります。
SOGIを理解する際には、LGBTQ+という当事者カテゴリーの理解に加え、性的指向とジェンダーアイデンティティがすべての人に関わる属性であることを押さえる必要があります。企業、学校、自治体、医療・福祉機関では、相談しやすい窓口、差別的言動を防ぐ研修、申請書類や施設利用の見直しなど、日常の制度運用に落とし込むことが重要になります。