1.堺市教育委員会は8月14日、窃盗を認めた中学校教諭と通勤電車内で痴漢行為をした小学校講師を、それぞれ停職6月とした。
2.窃盗事案は不起訴となったが、市は地方公務員法上の信用失墜行為などに該当すると判断し、懲戒処分を行った。
3.市の懲戒基準では他人の財物の窃取と公共交通機関での痴漢はいずれも「免職又は停職」で、常習的な痴漢行為は「免職」とされている。

堺市教育委員会は8月14日、市立中学校の33歳の教諭と市立小学校の23歳の講師を、それぞれ停職6月とした。中学校教諭は3月14日午前2時40分ごろ、堺東駅近くの時間貸し駐輪場で無施錠の自転車の料金を精算して持ち去ったことを認め、7月16日に窃盗容疑で書類送検された。7月22日に不起訴処分となっている。小学校講師は7月15日午前7時45分ごろ、通勤電車内で面識のない10代女性の太ももを触ったとして大阪府迷惑防止条例違反容疑で逮捕され、8月4日に処分保留で釈放された。
2件はいずれも地方公務員法33条の信用失墜行為に違反し、同法29条1項1号、3号の懲戒事由に該当するとされた。ここで注意したいのは、刑事手続と地方公務員の懲戒手続が同じ結論を取る制度ではない点だ。実際、中学校教諭は不起訴となった後も、市が確認した行為を基に停職処分を受けている。不起訴は懲戒責任が存在しないことを意味するものではなく、任命権者は職員としての服務規律に照らして別に判断する。
堺市の懲戒基準を見ると、「他人の財物を窃取すること」は免職又は停職、「公共の場所又は乗物において、痴漢行為、盗撮等をすること」も免職又は停職とされている。そのうえで、後者を常習的に行った場合は免職が標準とされる。今回の小学校講師は、7月15日の行為に加え、5月上旬以降に3度ほど、同じ女性に電車の揺れに乗じて身体を過度に密着させたことを認めたと市が説明している。ただし、公表資料には、この複数回の行為を懲戒基準上の「常習的」と扱ったかどうか、その評価過程は記載されていない。停職6月という処分量定を検証する際には、この点が確認事項となる。
痴漢事案は「教員が逮捕された」という組織上の問題だけではない。被害を受けた10代女性にとっては、通勤・通学にも使われる公共交通機関で身体の境界と性的自己決定を侵害された事案である。複数回の行為が同じ女性に向けられていたとの市の説明を踏まえれば、再発防止策では服務規律の周知とともに、痴漢を性暴力として認識する研修内容も問われる。小学校講師は懲戒処分と同じ8月14日付で依願退職したが、堺市教育委員会には、2件を処分した事実だけでなく、懲戒基準をどのように適用したのかを説明できる運用が必要となる。
堺市「教職員の懲戒処分について」
URL:https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/koho/hodo/hodoteikyoshiryo/kakohodo/r8/r808/080814_06.files/0814_06.pdf
堺市「堺市教職員の懲戒処分の基準に関する規則」
URL:https://www.city.sakai.lg.jp/reiki/reiki_honbun/s000RG00001371.html
e-Gov法令検索「地方公務員法」
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261