性的同意「常に必要」81%でも場面別判断にずれ HRNが教材公開

この記事のポイント

1.ヒューマンライツ・ナウが18歳以上39歳以下の3000人を対象とした性的同意調査の結果を報告した
2.81.17%が同意は常に必要と答えたが、雰囲気や関係性、無抵抗を同意とみなす回答もあった
3.ユースチームが飲酒時や上下関係、被害時の反応を扱う性的同意ハンドブックを公開した

「性的同意に関する意識調査」結果報告およびユース制作の性的同意ハンドブック「性的同意ってなんだろう?」紹介

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは2026年7月24日、東京都内で記者会見を開き、全国の18歳以上39歳以下の3000人を対象とした「性的同意に関する意識調査」の結果と、女性の権利プロジェクト・ユースチームが制作したハンドブック「性的同意ってなんだろう?」を紹介した。調査は6月17日に実施され、性的同意に関する一般的な認識と、交際、飲酒、沈黙、上下関係など具体的な場面での判断を尋ねた。

「性的な行為には常に同意が必要」とした回答は81.17%、「言葉で明確に同意を示している」を同意の基準とした回答は68.17%だった。これに対し、「態度や雰囲気から同意していると感じる」は24.13%、「関係性があれば同意していると考えることが多い」は19.37%、「明確に拒否・抵抗されない限り、同意していないとは判断しない」は17.80%となった。理念として同意の必要性を認めながら、相手との関係やその場の反応を同意とみなす回答も残っている。

調査では、2023年の刑法性犯罪規定改正を「知らない」とした人が55.23%、設問上の「同意のない性交が犯罪であること」を「知らなかった」とした人が39.17%に上った。ただし、刑法上の不同意性交等罪は、単に明示的な「YES」がなかった場合を一律に処罰する規定ではない。暴行・脅迫、アルコール、恐怖、虐待、立場による影響力などにより、同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態で性交等を行ったかが判断の中心となる。調査結果は刑法の成立要件とは分けて読みつつ、沈黙や無抵抗を同意と解釈する認識が性被害の理解を妨げる問題として捉える必要がある。

ハンドブックは、同意を明確な意思として確認すること、同意はいつでも撤回できること、無理や圧力がないこと、相手を尊重することの4点を基本に据えた。恋人同士、飲酒時、先輩と後輩など若者が直面しやすい場面に加え、性被害時の反応を示す「5F」、周囲の人が介入する方法を整理した「5Dアクション」、相談窓口、理解を確かめるクイズも収録した。東京大学大学院総合文化研究科博士課程で「Speak Up Sophia」共同設立者のミーシャ・ケードさんは、具体的な同意確認が十分に浸透しておらず、「Noだけでなく、Yesも伝えられない若者がいる」と指摘した。

文部科学省は2026年3月31日、「生命(いのち)の安全教育」の教材と指導の手引きを改訂し、性的同意を学べる内容を加えた。性的同意教育では、拒否する側だけに意思表示の責任を負わせず、相手が安心して意思を示せる状況か、途中で意思が変わっていないかを確認する側の行動まで扱う必要がある。ヒューマンライツ・ナウはハンドブックをPDFとオンラインブックで公開し、学校、大学、サークル、職場で具体的な場面を想定して対話する教材として提供している。

出典

ヒューマンライツ・ナウ「『性的同意に関する意識調査』結果報告およびユース制作の性的同意ハンドブック紹介」
URL:https://hrn.or.jp/hokoku/29351/

ヒューマンライツ・ナウ「18歳以上39歳以下の『性的同意』に関する意識調査」記者会見のお知らせ
URL:https://hrn.or.jp/news/29266/

法務省「性犯罪関係の法改正等 Q&A」
URL:https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00200.html

文部科学省「松本洋平文部科学大臣記者会見録(令和8年3月31日)」
URL:https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00680.html

人権ニュース編集部

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