
広島県は、家庭内でパートナー同士が協力して家事や子育てに取り組む「共家事・共育て」を県内に広げるため、企業と連携する「TEAM共家事&共育て」プロジェクトへの協賛企業募集を継続している。同プロジェクトは、家庭の中だけで努力を求めるのではなく、職場からも家事・育児の分担を後押しし、子育て世帯を社会全体で支える環境づくりを進める取組として、令和7年度から開始された。
県によると、令和8年3月時点で16社が協賛企業として認定されており、県内全23市町もプロジェクトに参加している。協賛企業には、株式会社イズミ、オタフクソース株式会社、株式会社サタケ、株式会社ひろぎんホールディングス、広島ガス株式会社、株式会社フジ、リョービ株式会社などが名を連ねる。各社は、男性育休の取得促進、仕事と子育ての両立支援、短時間勤務や時差出勤制度の活用、社内周知による意識改革など、それぞれの職場環境に応じた取組を掲げている。
「共家事・共育て」は、単なる家庭内の役割分担の見直しではない。長時間労働や育児休業を取得しづらい職場風土が残る中では、家事・育児の負担が一方の性別に偏りやすく、結果として女性の就業継続やキャリア形成、男性の育児参加、子どもと向き合う時間の確保に影響を及ぼす。企業が育休取得や柔軟な働き方を進めることは、従業員のワーク・ライフ・バランスだけでなく、ジェンダー平等や子どもの育つ環境の改善にもつながる。
今回のプロジェクトで注目されるのは、行政が企業の取組を認定・発信し、地域全体の意識変革につなげようとしている点である。県は令和7年度の取組として、広島FM「GOOD JOG」で協賛企業の実践例を紹介するラジオ放送も実施した。株式会社サタケ、株式会社イズミ、オタフクソース株式会社、株式会社ひろぎんホールディングス、リョービ株式会社などが出演し、各社の取組は特設サイト「共家事&共育てひろしま研究所」でも発信されている。企業の実例を見える化することは、他社が制度設計や社内周知を進める際の参考にもなる。
人権の観点から見ると、家事・育児の分担は、家庭内の私的な問題にとどまらず、労働環境、性別役割分担、子どもの権利、生活時間の保障と関わる課題である。制度があっても、実際に取得しにくい雰囲気があれば、育休や短時間勤務は十分に機能しない。広島県の取組は、企業に対して「子育ては家庭だけの責任ではない」という視点を示すものといえる。今後は、協賛企業の拡大に加え、取得率や利用実績、管理職の理解、非正規雇用や中小企業での活用状況など、制度が現場で使われているかを継続的に確認することが重要となる。

