孤独・孤立とは、日常生活や社会生活の中で孤独を覚えたり、社会から孤立したりすることにより、心身に有害な影響を受けている状態を指す言葉です。人権ニュースでは、制度、判例、行政施策、地域の啓発活動などを理解するうえで重要な用語として扱います。
1.孤独・孤立の意味
孤独・孤立は、本人が主観的に寂しさやつながりの不足を感じる「孤独」と、人間関係や社会との接点が乏しい「孤立」をあわせて捉える言葉です。孤独は本人の感じ方に関わり、孤立は家族、友人、地域、職場、学校、行政、福祉サービスなどとのつながりの状態に関わります。
一人で暮らしていることや、一人の時間を好むことが、直ちに孤独・孤立に当たるわけではありません。問題になるのは、困ったときに相談できる相手がいない、必要な支援につながれない、社会参加の機会を失っている、寂しさや不安が心身に影響しているといった状態です。
孤独・孤立は、高齢者だけの問題ではありません。子ども、若者、子育て中の保護者、単身者、失業中の人、生活困窮者、障害や病気のある人、外国にルーツのある人、ヤングケアラー、DVや虐待の被害者、ひきこもり状態にある人など、さまざまな人に起こり得ます。ライフステージの変化、家族関係、失業、病気、災害、地域との関係の希薄化、デジタル化などが重なることで深刻化する場合があります。
2.制度・法律との関係
孤独・孤立と関係が深い法律が、孤独・孤立対策推進法です。同法は、日常生活または社会生活において孤独を覚えること、または社会から孤立していることにより、心身に有害な影響を受けている状態を対象に、孤独・孤立対策を総合的に推進するための法律です。
孤独・孤立対策推進法は、国や地方公共団体の責務、国民の理解と協力、孤独・孤立対策重点計画、孤独・孤立対策推進本部、地方版官民連携プラットフォーム、孤独・孤立対策地域協議会などの仕組みを定めています。行政だけでなく、NPO、社会福祉協議会、民間団体、地域団体、医療・福祉機関などが連携することが想定されています。
同法に基づく孤独・孤立対策重点計画は、孤独・孤立対策に関する基本的な方針と、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策を定めるものです。相談支援、居場所づくり、アウトリーチ型支援、官民連携、NPO等への支援などが、制度上の重要な柱になります。
孤独・孤立対策は、生活困窮者自立支援制度、介護保険制度、障害福祉制度、児童福祉、子育て支援、こども基本法、ヤングケアラー支援、ひきこもり支援、自殺対策、地域共生社会、災害時の要配慮者支援などとも関係します。単独の窓口だけで解決する問題ではなく、分野をまたいだ支援の接続が必要になります。
3.人権上の論点
孤独・孤立の人権上の論点は、つながりの欠如が、生命、健康、住まい、教育、就労、福祉サービスへのアクセス、地域参加に影響する点にあります。孤独や孤立が長く続くと、生活困窮、虐待、DV、自殺リスク、医療や介護の未利用、災害時の取り残されなどにつながる場合があります。
特に問題になるのは、孤独・孤立の状態にある人ほど、支援に自らアクセスしにくいことです。相談先を知らない、手続が複雑でたどり着けない、過去の相談で傷ついた経験がある、家庭や地域で孤立しているといった事情があると、制度が存在していても利用できない状態が生じます。
一方で、孤独・孤立対策は、本人の意思を無視した介入になってはなりません。人とのつながりを作ることは重要ですが、本人が望まない関係や参加を一方的に押し付けることは、支援ではなく負担になることがあります。本人の状況、希望、安心できる距離感を確認しながら、相談、見守り、居場所、伴走支援につなげる必要があります。
孤独・孤立を理解する際には、個人の性格や努力不足の問題としてではなく、支援から取り残されるリスク、地域や制度との接点、社会参加の機会に関わる人権課題として捉える必要があります。自治体、学校、企業、福祉機関、地域団体が、早期の気づき、アウトリーチ、居場所づくり、官民連携を具体的に進めることが、孤独・孤立対策の実効性を左右します。