1.名古屋市消防局が10月1日、盗撮とストーカー行為を理由に26歳の消防士長を免職とした。
2.下階の居室を約10回撮影したほか、自宅に宿泊した知人女性2人を脱衣所に設置したカメラで撮影していた。
3.刑事手続上の不起訴と公務員としての懲戒判断は別の制度であり、性的プライバシーや生活の平穏への侵害も問題となる。

約10回の居室撮影、知人女性2人も盗撮
名古屋市消防局は10月1日、盗撮とストーカー行為をしたとして、26歳の男性消防士長を免職とした。市によると、職員は1月1日午前0時ごろ、自宅アパートのベランダから下階の居室内をスマートフォンで撮影した。居住者が気付き110番通報し、その後の捜査で、同じ居室を過去にも約10回撮影していたことが判明した。自宅に宿泊した知人女性2人についても、それぞれ脱衣所に設置したカメラで撮影していたという。
職員は3月10日、下階に住む女性に対するストーカー行為で警察から警告書の交付を受けた。6月2日には面識のない別の女性に自宅付近で声をかけ、同月22日に電車内で再び声をかけた。女性が恐怖を感じて警察へ相談し、職員は6月29日にもストーカー行為に関する警告書を交付された。
「不起訴」と「免職」は同じ判断ではない
下階居室を撮影した行為について、市の資料は捜査の結果「不起訴処分」となったと記載している。一方、名古屋市消防局は一連の行為を踏まえて地方公務員として免職処分を行った。刑事事件として起訴するかどうかの判断と、任命権者が服務規律や公務への信用を踏まえて行う懲戒処分は別の制度である。不起訴だったことから懲戒対象にならないとも、免職されたことから刑事上有罪だったとも整理できない。
盗撮をめぐっては、2023年7月に性的姿態撮影等処罰法の主要部分が施行され、一定の態様で本人の意思に反して性的な姿態を撮影する行為などに全国共通の刑事規制が設けられた。ただし、今回公表された個々の撮影が同法の構成要件を満たしたと名古屋市が認定したわけではない。法制度の一般的な説明と、この職員について公表された事実は分けて読む必要がある。
撮影後も続く性的プライバシーへの影響
盗撮の被害は、撮影された瞬間だけで完結しない。画像や動画が端末に保存されれば、複製、第三者への提供、ネットへの流出が可能な状態になる。被害者にとっては「どのような画像が残っているのか」「他人に見られていないか」を確認できないこと自体が生活上の不安につながる。ストーカー行為も同様に、身体への直接的な危害が起きていなくても、外出や通勤などの日常行動を萎縮させる可能性を持つ。
名古屋市消防局長は、市民の生命、身体、財産を守る消防官による不祥事として謝罪し、コンプライアンス意識の向上を図るとしている。再発防止策を確認する際には、服務規律の周知だけでなく、盗撮やストーカーが相手の性的プライバシーと生活の平穏をどのように侵害する行為なのかまで職員教育に反映されるかが具体的な検証項目となる。
名古屋市消防局「職員の懲戒処分について」
URL: https://www.city.nagoya.jp/houdou/_res/projects/project_houdou/page/003/005/862/20261001shokuinchokai.pdf
法務省「性犯罪関係の法改正等 Q&A」
URL: https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00200.html

