1.三重県が10月26日、部落差別解消条例(仮称)の制定などを検討する第4回会合を開催する。
2.2016年施行の部落差別解消推進法と、2022年施行の三重県の人権条例が制度的な背景となる。
3.新条例の制定と既存条例の改正を合わせて検討し、県の人権施策の充実につなげる。

10月26日に専門家による第4回検討会
三重県は2026年10月26日、「部落差別解消条例(仮称)」の制定と、既存の「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」の改正に向けた第4回検討会を開催する。専門的な知見を持つ委員から意見を聴き、条例制定や改正に関する検討を進める。
会場は津市栄町の三重県合同ビル2階G201会議室で、開催時間は午後1時30分から3時30分までを予定している。
検討会は、非開示情報などを含む事項を扱うことから非公開で開催する。報道機関については冒頭部分のみ傍聴できる。
検討の対象は、新たな部落差別解消条例の制定だけではない。県内のさまざまな差別や人権問題に対応する既存条例についても、改正を議題としている。
部落差別解消推進法が定める国の基本方針
部落差別は、歴史的に形成された社会的差別の一つであり、本人の出身地や家族の出自などを理由に、結婚、就職、日常生活などで不利益を受ける問題を指す。
国は2016年12月に「部落差別の解消の推進に関する法律」(部落差別解消推進法)を施行した。
同法は、部落差別が現在も存在することを認識したうえで、その解消を国と地方公共団体が推進するための法律である。相談体制の充実、教育・啓発、部落差別の実態に係る調査などについて規定している。
特徴は、個別の差別行為に対する刑罰を新たに設ける法律ではなく、国や自治体が差別解消に向けて取り組むための基本的な枠組みを定めている点にある。
したがって、法律の制定だけで相談や救済の具体的な仕組みがすべて整うわけではない。住民に身近な自治体がどのような相談、啓発、支援を実施するかも、制度を理解するうえで大切になる。
三重県が検討している条例は、こうした国の制度と県独自の人権施策との関係から捉えることができる。
2022年施行の三重県人権条例との関係
三重県では2022年5月19日、「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」が公布・施行された。一部の規定は2023年4月1日から施行されている。
この条例は、それまでの「人権が尊重される三重をつくる条例」を全面的に改正したもので、部落差別を含む不当な差別や、いじめ、虐待、プライバシー侵害、誹謗中傷など、幅広い人権問題を対象としている。
条例では、人種、国籍、性別、性的指向、性自認、障害、社会的身分、被差別部落の出身であることなどを理由とする不当な差別について定義し、差別の解消や人権尊重に向けた県の施策を定めている。
相談対応での解決が困難な不当な差別に係る紛争については、知事による助言、説示、あっせんなどの手続きも設けられている。
あっせんとは、紛争の当事者の間に第三者が入り、話し合いや解決に向けた調整を行う方法をいう。裁判による判断とは異なり、対話や調整を通じた解決を目指す仕組みだ。
2022年の条例は、部落差別に限らず、複数の人権課題に共通する制度を整えたものだった。今回の検討会では、部落差別に関する新たな条例の制定と、この既存条例の改正を合わせて議論する点に特徴がある。
新たな条例と既存条例はどう違うのか
現在の三重県の人権条例は、さまざまな差別に共通する基本理念や相談・調整の仕組みを規定している。
これに対し、特定の人権課題に関する条例は、その課題の特性や、相談、教育、啓発などの施策をより具体的に整理するための制度となり得る。
ただし、今回の検討会で取り扱う「部落差別解消条例」は、現段階では仮称である。制定時期や最終的な条文、具体的な制度内容が確定したわけではない。
既存条例との関係についても、どの規定を新条例に設け、どの部分を既存条例で対応するかなど、今後の検討内容を確認していく必要がある。
新たな制度を理解する際には、条例の名称だけではなく、相談できる対象、利用方法、施策の内容など、県民の生活とどのようにつながるかを知ることが役立つ。
条例の検討を通じて県民が知っておきたいこと
部落差別は、差別を受けた当事者や家族だけの問題ではない。結婚や就職などで相手の出自を不当に調べたり、インターネット上で差別を助長する情報が流通したりする問題について、地域で正しい知識を共有することも差別防止に関係する。
三重県では、1990年の人権県宣言、1997年の人権条例、2022年の条例全面改正などを通じて、人権施策の制度整備を進めてきた。今回の検討会は、そうした県の施策を踏まえた新たな検討の機会となる。
検討会そのものは非公開だが、県が公表する資料や今後の制度案を通じて、県民も条例制定に向けた内容を知ることができる。
三重県環境生活部人権課が担当する今回の検討では、10月26日の第4回会合を経て、部落差別解消条例の制定と既存条例の改正に関する検討が進められる。
三重県「第4回『部落差別解消条例(仮称)』制定等に向けた検討会を開催します」 URL:https://www.pref.mie.lg.jp/SINGI/m0111400039.htm
三重県「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」 URL:https://www.pref.mie.lg.jp/JINKENC/HP/37937032079.htm
三重県議会「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例案 概要」 URL:https://www.pref.mie.lg.jp/KENGIKAI/08056011124_00032.htm

