ランスタッド、39市場の雇用支援公開 53万人に職業訓練

この記事のポイント

1.ランスタッドが39の国・地域における100件超の雇用、D&I、労働安全、環境分野の取組をまとめた報告書を公開した
2.2025年は53万2,200人に職業訓練を提供し、長期失業者6万6,400人、難民3万9,720人の就労・訓練を支援した
3.社会貢献の件数だけでなく、雇用の継続性、労働条件、苦情への対応、被害の是正まで開示できるかが人権尊重の評価に関わる

ランスタッド、各国の革新的な事例を紹介したサステナビリティ最新レポート

総合人材サービス会社のランスタッドは2026年7月31日、世界39の国・地域で実施する取組をまとめた「ローカル・サステナビリティ・イニシアチブ2026」を公開した。報告書は全67ページで、「公正で公平な仕事」「誠実な事業運営」「より良い地球」の3分野に分け、100件を超える地域別の事例を掲載している。人材紹介や派遣を担う企業として、就労機会の提供だけでなく、職業訓練、差別の防止、労働安全衛生、難民や障害者の就労、育児との両立などを事業上の課題として扱った。

2025年にリスキリングなどの訓練を提供した人数は53万2,200人で、2024年の44万5,100人から21%増えた。訓練時間は381万9,400時間に達し、1年以上失業していた6万6,400人の就労を支援した。就労支援実績として、25歳未満は53万3,300人、50歳超は24万3,000人、障害のある人は1万1,000人だった。難民支援では3万9,720人を就労または訓練につなげ、当初の「2025年までに5万人」という累計目標を2024年末までに達成したとしている。これらは対象別に示された指標であり、相互に重なる可能性があるため、単純に合算した人数ではない。

各国の事例は、労働市場から排除されやすい人への就労経路を重視する。スウェーデンでは、環境配慮型鉄鋼を生産するStegra社と連携し、2026年2月までにブルーカラー労働者901人を採用した。従業員の50%を女性とする目標も掲げる。フランスの障害者向け人材派遣ネットワーク「Kliff par Randstad」は、2019年の開始後に7拠点へ拡大し、約4,000人を支援した。このうち1,100人超が就労し、同社は継続的な雇用につながった割合を約25%と報告している。人数を増やすだけでなく、職場定着や合理的配慮、賃金、安全衛生を含めて雇用の質を確認することが、ディーセント・ワークの評価には欠かせない。

日本法人の取組では、2025年大阪・関西万博のオランダパビリオンで、未来の職場をテーマとするシンポジウムを開いた。会場では発達障害や生理痛を疑似体験する技術を使用し、職場における多様なニーズへの理解促進を図った。LGBTQI+施策では「PRIDE指標2025」のゴールドを5年連続、「レインボー認定」を3年連続で取得し、D&Iアワードのベストワークプレイスにも4年連続で選ばれた。男性従業員の育児休業取得率は2023年の43%から59%へ上昇し、柔軟な勤務時間とリモート勤務も運用している。

労働安全衛生では、日本法人が従業員と派遣スタッフを対象に年1回の健康診断とストレスチェックを行い、産業医による事後対応や就業上の助言につなげている。2025年には、派遣先工場で労働災害防止に携わったオンサイト事業部の管理責任者が、厚生労働大臣の安全衛生優良職長等顕彰を受けた。派遣労働では、雇用主である派遣会社と実際の作業を指示する派遣先の双方が安全確保に関係する。人材会社が派遣先の労働環境や差別、ハラスメントをどのように把握し、改善へ働きかけるかは、自社従業員だけを対象とする人事施策とは異なる責任を伴う。

ランスタッドは「人権及び公正な労働条件に関する方針」を設け、差別の禁止、ハラスメント防止、健康と安全、強制労働・児童労働の禁止、結社の自由、公正な労働時間と報酬などを対象としている。新たな取引関係を結ぶ前や既存顧客を定期的に確認する際にも、人権リスクを評価すると説明する。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」は、企業に対し、人権への負の影響を特定し、予防・軽減し、取組の実効性を確認するとともに、被害が生じた場合は救済へつなげる責任を示している。

今回の報告書は、各地域で行われている施策を横断的に把握できる一方、主に同社が選んだ取組と成果指標を紹介する事例集である。研修受講者数、採用人数、表彰歴は施策の規模を示すが、それだけでは、採用後の雇用期間、賃金、昇進、離職、差別やハラスメントの発生、苦情処理、是正結果までは分からない。ランスタッドが掲げる「公正で公平な仕事」を検証するには、成功事例とともに、把握した人権リスク、相談・通報件数、救済措置、派遣先や取引先への改善対応を継続的に示すことが必要になる。同社はグローバルな人権リスク管理と地域別施策を結び、39の国・地域で働く人の労働条件にどのような変化が生じたかを次回以降の報告で明らかにする。

出典

ランスタッド株式会社「世界39ヵ国で100以上の社会イノベーションを推進 サステナビリティ最新レポートを公開」
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000396.000004185.html

Randstad「Local Sustainability Initiatives 2026」
URL:https://www.randstad.com/s3fs-media/rscom/public/2026-07/RAN042_Local_sustainability_report_v5.pdf

Randstad「A partner for fair and equitable work」
URL:https://www.randstad.com/about-randstad/sustainability/sustainability-framework/fair-and-equitable-work/

国連人権高等弁務官事務所「Guiding Principles on Business and Human Rights」
URL:https://www.ohchr.org/sites/default/files/documents/publications/GuidingprinciplesBusinesshr_eN.pdf

国際労働機関「Decent work and the 2030 Agenda for sustainable development」
URL:https://www.ilo.org/topics-and-sectors/decent-work-and-2030-agenda-sustainable-development

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人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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