1.デジタル庁は6月1日、「デジタル社会推進標準ガイドライン」を更新した。
2.新たに「ウェブアクセシビリティ広報向けガイドブック」が掲載され、動画やSNS、PDF、図表などの広報実務を扱う。
3.ウェブアクセシビリティは、障害の有無や利用環境にかかわらず、行政情報や手続にアクセスできる状態を確保する取組である。

デジタル庁は6月1日、「デジタル社会推進標準ガイドライン」のページを更新し、サービスデザインに関する資料群の中に「DS-672.1 ウェブアクセシビリティ広報向けガイドブック」を掲載した。ガイドブックの日付は2026年6月1日。行政の広報担当者が、動画、SNS、PDF、スライド、画像、図表などを使って情報発信する際に、どのようにアクセシビリティを確保するかを整理した資料である。
デジタル社会推進標準ガイドライン群は、政府情報システムの整備・管理、サービス・業務改革、技術標準などに関する共通ルールや参考資料をまとめたもの。文書には、遵守事項を定める「Normative」と、参考資料として活用する「Informative」がある。今回の「ウェブアクセシビリティ広報向けガイドブック」はInformativeの文書で、行政広報の実務で参照する資料として扱われる。
ウェブアクセシビリティとは、障害のある人、高齢者、けがや病気で一時的に操作が難しい人、スマートフォンで閲覧する人、音声を聞けない環境にいる人など、さまざまな利用者がウェブ上の情報や機能を利用できるようにする考え方である。行政分野では、単に「見やすいサイト」を作る話にとどまらない。税、福祉、子育て、防災、医療、雇用などの情報にアクセスできるかどうかが、制度利用の機会そのものに関わる。
ガイドブックは、2022年に公開された「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」を踏まえ、ウェブサイト構築後に追加される広報コンテンツへ焦点を当てた。例えば、画像には内容を説明する代替テキストを付ける、動画にはキャプションや手話、音声ガイド、書き起こしテキストを検討する、PDFやスライドは読み上げや構造化に配慮する、といった実務上の確認事項を示している。SNSで発信する画像や動画も、行政情報の入口になり得るため、広報担当者の判断だけで品質が左右されない運用が必要となる。
人権上の論点は、行政情報へのアクセスが特定の人に偏らないようにする点にある。画面を目で確認できる人だけ、音声を聞ける人だけ、複雑な操作ができる人だけを前提にした発信は、結果として情報格差を生む。障害者差別解消法が行政機関に合理的配慮の提供を求めていることを踏まえると、ウェブアクセシビリティは、広報担当者やシステム担当者だけの技術課題ではなく、行政サービスへの参加機会を支える制度課題でもある。
デジタル庁は、同じサービスデザイン分野に「ユーザビリティガイドライン」「ウェブサイトガイドライン」「ウェブコンテンツガイドライン」も並べている。各府省のウェブサイトや広報物では、プライバシー、セキュリティ、アクセシビリティ、文章表現、生成AIの利用、コンテンツ管理などを一体で扱う必要がある。今回の広報向けガイドブックは、紀尾井町のデジタル庁が掲げる「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を、動画やSNSを含む日々の発信業務に落とし込む資料となる。
デジタル庁
URL:https://www.digital.go.jp/resources/standard_guidelines
取得日:2026年6月1日

