アフガン女子260万人が中等教育から排除 制限5年、教員・医療にも影響

この記事のポイント

1.ユニセフはアフガニスタンで女子260万人超が2021年以降、中等教育を受けられなくなったと推計
2.教育制限は学校だけでなく、2030年までの女性教員・医療従事者の減少や児童婚、暴力のリスクにも波及
3.地域学習支援は続いているが、中等・高等教育への制度的なアクセスを回復する代替にはならない

アフガニスタン:女子中等教育の制限 5年で260万人の学習機会を奪う ユニセフ、学習支援を継続し制限解除を求める 【プレスリリース】

ユニセフは8月14日、アフガニスタンで事実上の当局が権力を掌握してから5年間に、260万人を超える女子が中等教育を受けられなくなったと公表した。女子は2021年9月以降、原則として6年生を超える正規教育から排除され、女性の大学教育も2022年12月以降制限されている。ユニセフによると、女子・女性に中等・高等教育が事実上閉ざされている国はアフガニスタンのみとなっている。

教育への制限は、学校に通えない人数だけでは測れない。ユニセフは、就学していない女子ほど児童労働、虐待、早期婚、ジェンダーに基づく暴力の危険が高くなると指摘する。2023年以降にはイランとパキスタンから270万人を超える人々がアフガニスタンへ戻り、その60%を子ども・若者が占めるとしており、貧困や移動による脆弱性と教育制限が重なる。

影響は次世代の公共サービスにも及ぶ。ユニセフが2026年4月にまとめた分析では、この状況が続けば2030年までに女性教員を最大2万人、女性保健医療従事者を5,400人失う可能性がある。基礎教育に携わる女性教員は2022年の約7万3,000人から2024年には約6万6,000人へ9%超減少した。女性の公務員比率も2023年の21%から2025年には17.7%へ低下したとしている。

経済的な損失も試算されている。ユニセフは女子教育と女性雇用への制限により、年間8,400万ドル相当の経済的生産が失われていると推計する。母親が教育を受けられない割合が高くなることは、低出生体重、予防接種不足、発育阻害など次世代の健康リスクとも関連するとしており、教育権の制限が保健、雇用、子どもの保護へ連鎖する構造を示している。

ユニセフは制限下でも教育支援を続け、2025年には公立学校の子ども370万人超に緊急教育支援を提供した。地域を基盤とした学習には44万2,000人が参加し、その66%が女子だったほか、232校を建設または改修した。こうした取組は学習機会の喪失を緩和するが、女子が正式な中等・高等教育へ進めない制度そのものを代替するものではない。2025年3月にもユニセフは、制限が2030年まで続けば教育機会を奪われる女子が400万人を超える可能性を警告していた。

日本ユニセフ協会は8月17日、このユニセフ発表を日本語で紹介した。5年間の教育制限を評価する際には、260万人という現在の人数に加えて、女性教員や医療従事者の供給、女子の安全、次世代の健康まで継続して追う必要がある。

出典

日本ユニセフ協会「アフガニスタン:女子中等教育の制限 5年で260万人の学習機会を奪う」
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002743.000005176.html

UNICEF「More than 2.6 million girls in Afghanistan have been denied a secondary education since 2021」
URL:https://www.unicef.org/press-releases/more-26-million-girls-afghanistan-have-been-denied-secondary-education-2021

UNICEF「As new school year starts in Afghanistan, almost 400,000 more girls deprived of their right to education」
URL:https://www.unicef.org/press-releases/new-school-year-starts-afghanistan-almost-400000-more-girls-deprived-their-right

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

人権ニュース編集部をフォローする
国際
シェアする
タイトルとURLをコピーしました