三重県、中央児童相談所一時保護所で心理的虐待事案 再発防止策を公表

三重県は、中央児童相談所一時保護所で一時保護中の児童に対し、職員による心理的虐待事案が発生したと公表した。県によると、2025年12月25日、同一時保護所に入所していた未就学児が外国語で大きな声を出していた際、女性職員がその児童と近くにいた小学生2人に対し、極めて大きく感情的な口調で対応した。県は、被害を受けた児童や保護者、県民に謝罪し、再発防止に向けた取組を進めるとしている。

事案発生後、中央児童相談所から児童相談支援課に報告があり、県は国の「被措置児童等虐待対応ガイドライン」に基づき、2025年12月26日に身体的虐待および心理的虐待の疑い事案として受理した。2026年1月8日から3月31日にかけて、弁護士などの第三者調査員とともに、在籍児童や職員への聴き取り調査を実施。その結果、職員が児童3人に対して極めて大きく感情的な口調で対応した事実を確認した一方、髪を引っ張るなどの身体的行為は確認されなかったとしている。

県は、2026年4月17日に開催された三重県社会福祉審議会児童福祉専門分科会こども相談支援部会に事案を報告し、同日付で心理的虐待と認定した。一時保護所は、虐待、養育困難、非行、家庭内の危機などにより、安全確保や生活環境の調整が必要な子どもを一時的に保護する場所である。子どもは不安や混乱を抱えて入所することが多く、職員には、行動の背景を理解し、威圧ではなく安心を回復させる対応が求められる。だからこそ、保護の場で子どもが恐怖や萎縮を感じる対応を受けたことは重い。

今回の事案では、児童が外国語で話していた場面が発端となっている点も見過ごせない。外国につながる子どもは、言葉、文化、家庭環境、在留背景などにより、支援者との意思疎通に困難を抱える場合がある。職員側が言語を理解できないことを不安や苛立ちとして受け止めれば、子どもの行動を誤って解釈し、支援が管理や叱責に傾くおそれがある。県が再発防止策として外国人支援員の派遣を掲げたことは、単なる通訳対応にとどまらず、多文化背景を踏まえた児童福祉の体制整備として重要である。

県は、再発防止策として、一時保護所の全職員を対象にした実践的研修の実施、外国につながる子どもへの言語対応強化、防犯カメラ7台の増設を示している。もっとも、防犯カメラの設置だけで子どもの権利保障が十分になるわけではない。必要なのは、職員が感情的対応に至る前に支援を求められる組織体制、子どもが不安や被害を訴えやすい仕組み、第三者が継続的に施設運営を点検する仕組みである。児童相談所への信頼を回復するには、今回の認定を出発点として、研修、記録、相談、検証を実効性ある形で運用できるかが問われる。

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