全国学生調査に33万人超が回答 外国語能力の習得実感は4割

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この記事のポイント

1.文部科学省は10月9日、初めて本格実施した「全国学生調査」の結果を公表。734大学と237短期大学から計33万6,571人が回答した。
2.大学生の91%が授業で教え方の工夫を感じた一方、外国語を使う力が身に付いたと回答した割合は40%にとどまった。5日間以上のインターンシップも77%が未経験だった。
3.2026年中には学部・学科別の調査結果も公表する予定。学生の学習経験を大学教育の改善につなげるとともに、回答率の違いや教育機会の格差を考慮した分析が課題となる。

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971校が参加、33万6,571人の声を集計

文部科学省は2026年10月9日、2025年度に実施した「全国学生調査(本格実施)」の結果を公表した。調査には734大学と237短期大学の計971校が参加し、33万6,571人から有効回答を得た。大学の回答率は25.3%、短期大学は60.8%で、2024年度の試行調査における13.1%、38.0%をそれぞれ上回った。対象は大学の学部2年生と最終学年の学生、短期大学の2年生以上など。2019年度から4回の試行調査を経て、初めて全国規模で本格実施した。文部科学省は、大学側が提供する教育内容だけでなく、学生自身が何を学び、どのような能力を身に付けたと感じているかを把握し、大学教育の改善と政策立案に活用する方針だ。

授業への評価は高いが、外国語能力には課題

調査では、大学生の約91%が授業について「理解がしやすいように教え方が工夫されていた」と肯定的に回答した。専門分野に関する知識や理解が身に付いたと答えた割合も90%、他者と協働する力は88%、幅広い知識やものの見方は89%だった。その一方、外国語を使う力を習得したと感じる学生は40%、数理・統計・データサイエンスに関する知識や技能は56%にとどまった。ただし、これらは学生の自己評価であり、客観的な能力試験の結果ではない。授業への満足度が高いことと、大学が目標とする能力が実際にどこまで形成されたかは、区別して検証する必要がある。

長期インターンシップは77%が未経験

大学在学中の経験については、5日間以上のインターンシップを経験していない学生が約77%、海外留学・海外研修を経験していない学生が約83%を占めた。こうした学習活動は、大学で得た知識を実社会で活用し、異なる文化や職業に接する機会となる。ただし、未経験という結果だけで、大学が参加機会を提供していないとは判断できない。本人の希望、専攻分野、参加時期、費用負担、受入れ先の確保など、複数の事情が関係するためだ。今後の分析では、単に経験者の割合を増やすことだけでなく、希望しても参加できなかった学生がどの程度いるのか、その理由を明らかにすることが課題となる。

教育を受ける権利は「入学できること」だけか

教育機会の保障を考える際には、大学へ進学できることと、進学後に学習機会を十分に利用できることを分けて考える必要がある。国際人権規約のうち社会権規約第13条は、高等教育について、能力に応じてすべての人に均等な機会を保障することを定めている。日本は2012年、高等教育の無償化を漸進的に導入することに関する留保も撤回した。経済的事情によって留学や学外活動への参加が難しい学生、障害などを理由に学習上の配慮を必要とする学生に、どのような機会が保障されているかは、大学教育の実質的な公平性に関わる。ただし、今回の集計だけから、それらの事情が未経験率の高さを生んだと結論付けることはできない。

学生の声を大学評価にどう反映するか

文部科学省は2026年中をめどに、参加校の学部別、短期大学では学科別の調査結果も公表する予定だ。大学の知名度や入学時の難易度だけでなく、学生が実際に何を学んだと感じているかを比較できるようになる。ただし、大学の回答率が25.3%にとどまる以上、回答者の意識が在学生全体を代表しているかには慎重な検討が必要となる。回答率が異なる大学や、専門分野の異なる学部を単純に順位付けすれば、学生の学習実態を正確に反映できないおそれもある。文部科学省が進める全国学生調査では、学生の回答を大学運営へどう反映し、教育改善の成果をどのように確認するかが、今後の検証事項となる。

出典

出典 文部科学省「全国学生調査」 URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/chousa/1421136.htm

文部科学省「令和7年度『全国学生調査(本格実施)』の結果について」 URL:https://www.mext.go.jp/content/20261009-koutou02-000001987_5.pdf

文部科学省「令和7年度『全国学生調査(本格実施)』実施要領」 URL:https://www.mext.go.jp/content/20250509-mxt_kouhou01-000001987_2.pdf

厚生労働省「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」 URL:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=90075000&dataType=0&pageNo=1

外務省「社会権規約第13条2(b)及び(c)の規定に係る留保の撤回について」 URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/tuukoku_120911.html

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人権ニュース編集部

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