山梨県、養育費保証を全県で開始 都道府県初、初年度5万円まで負担

この記事のポイント

1.山梨県は8月20日、株式会社イントラストと連携した「ひとり親家庭養育費保証推進事業」を開始した。
2.養育費が未払いになった場合の保証サービスについて、利用1年目の保証料を上限5万円まで県が保証会社へ直接支払う。
3.2026年4月には改正民法による法定養育費や履行確保策も施行されており、保証サービスと法的な養育費確保手段を区別して利用する必要がある。

山梨県のひとり親家庭養育費保証推進事業

山梨県は2026年8月20日、ひとり親家庭の養育費確保を支援する「ひとり親家庭養育費保証推進事業」を開始した。養育費保証サービスを提供する株式会社イントラストと連携し、養育費の未払いが生じた場合に保証会社が立替払いを行う仕組みを利用しやすくする。県がひとり親から申込みを受け付け、利用1年目の保証料を上限5万円まで保証会社へ直接支払うため、要件を満たせば原則として初年度の保証料を自己負担せず利用を始められる。県によると、保証会社と連携して都道府県全域で養育費保証サービスの利用促進を行う取組は全国初となる。

自治体と保証会社による同種の仕組みは、2025年4月に宮崎市で導入され、2026年7月時点で全国11市に広がっている。山梨県は市町村単位ではなく県全域を対象とした点で制度を広げた。県では2026年4月から、公正証書作成費を上限3万円、養育費請求の調停や未払い時の強制執行に係る費用をそれぞれ上限6万円まで補助する制度も設けている。保証サービスだけを単独で導入したのではなく、取り決め、請求、強制執行まで複数の段階を支援対象としている点が特徴だ。

養育費をめぐる国の法制度も2026年4月1日に変わった。改正民法では、離婚後の子の養育に関する規律を見直し、養育費債権の履行を確保しやすくするための一般先取特権を新設した。4月1日以降に離婚し、養育費の取り決めをしていない場合には、子ども1人につき月2万円を暫定的に請求できる「法定養育費」も導入された。ただし、法務省は法定養育費について、父母の収入などを踏まえた適正額を取り決めるまでの暫定的・補充的な制度だと説明している。

制度改正の背景には、養育費が継続して支払われない現状がある。2021年度全国ひとり親世帯等調査では、養育費の取り決めをしている母子世帯は46.7%だったのに対し、現在も受給している割合は28.1%だった。父子世帯では取り決め28.3%、現在も受給8.7%となっている。調査時点は2021年度であり現在の制度改正前の数字だが、取り決めと実際の履行の間に差があることを示す全国統計である。

保証サービスは、未払い時の生活への影響を緩和する手段になる一方、養育費を支払う義務そのものを保証会社へ移す制度ではない。県が負担するのも利用1年目の保証料であるため、契約期間、2年目以降の費用、立替払いの条件などは利用前に確認する必要がある。山梨県の新事業については、申込件数だけでなく、実際に養育費が安定して確保された世帯数、公正証書や調停など他の支援との組合せ、保証終了後の継続状況まで検証することで、子どもの生活保障にどこまで結び付いたかを評価できる。

出典

山梨県「『ひとり親家庭養育費保証推進事業』を開始しました」
URL:https://www.pref.yamanashi.jp/release/kodomo-fukushi/0809/yoikuhi_hosho.html

山梨県「養育費の相談、支援について」
URL:https://www.pref.yamanashi.jp/kodomo-fukushi/youikuhi.html

法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」
URL:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357

法務省「りこんポータル」
URL:https://www.moj.go.jp/MINJI/parents_010.html

「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」結果について
URL:https://www.moj.go.jp/content/001388755

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人権ニュース編集部

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