1.JOICFPの現地報告では、熊本県八代市郡築地区で外国人住民への飲料水配布や生活状況の聞き取りが行われた。
2.車を持たない技能実習生や避難所を利用していない外国人は、一般的な物資配布の仕組みから外れやすい実態が確認された。
3.災害時の外国人支援では多言語情報だけでなく、移動手段、雇用主との関係、地域との平時からの接点が支援へのアクセスを左右する。

公益財団法人ジョイセフ(JOICFP)は2026年8月25日、熊本地震後の八代市で外国人住民を支援する「コムスタカ―外国人と共に生きる会」の活動を報告した。報告によると、八代市北部の郡築地区には約4,000人が暮らし、このうち外国人は約1,000人に上る。農業や縫製などに従事する技能実習生も多い。コムスタカは8月22日までに被災した外国人300人を超える住民へ飲料水を届け、約30人から生活状況を聞き取った。
現地で見えたのは、「支援物資が用意されていること」と「必要な人が受け取れること」の間にある障壁だった。技能実習生の中には自動車を持たず、自転車を主な移動手段とする人もいる。仕事を終えた後に物資の配布場所へ向かうことが難しい場合もあった。ベトナム人コミュニティーやフィリピン人の地域リーダーと連携することで支援につながった例がある一方、外国人労働者と外部との接触を避け、支援物資の提供を断った雇用主の事例もJOICFPは紹介している。
自治体国際化協会(CLAIR)は、災害時の外国人支援について、多言語での情報提供、災害多言語支援センターの設置、外国人コミュニティーや関係団体との平時からの連携を整理している。ただ、行政情報を翻訳するだけでは、避難所へ行かない人、移動手段を持たない人、雇用先以外との接点が少ない人には届かない場合がある。外国人住民がどこで暮らし、誰から情報を得て、どのような手段で支援場所まで移動できるのかを把握することが実務上の課題になる。
技能実習生は事業所で働く労働者であると同時に、地域で生活する住民でもある。災害支援へのアクセスが勤務先の判断や特定の地域リーダーだけに依存すると、支援から取り残される人が生じる可能性がある。コムスタカによる戸別の飲料水配布や聞き取りは、行政の避難所支援を代替するものではなく、避難所中心の仕組みでは把握しにくい住民を見つける活動として見ることができる。八代市の事例は、外国人住民が多い地域では、雇用政策、多文化共生施策、防災施策を別々に運用しない体制が必要であることを示している。
JOICFP「令和8年熊本地震 現地レポート」
URL:https://www.joicfp.or.jp/jpn/2026/08/25/59651/
自治体国際化協会「災害時外国人支援に関する情報」
URL:https://www.clair.or.jp/j/multiculture/tagengo/saigai.html

