栃木県、障害者グループホームを1カ月新規利用停止 虐待3件を確認

この記事のポイント

1.栃木県は「ライフワンホーム高根沢宝積寺」に対し、9月1日から30日まで新規利用者の受入れを停止する行政処分を行った。
2.職員による7件の不適切行為が確認され、3件は利用者の支給決定自治体から虐待として報告されていた。
3.職員11人への虐待防止・身体拘束適正化研修が未実施で、通報も行われておらず、個人の行為だけでなく事業所の組織的な虐待防止体制が問われた。

懲戒処分のイメージ図

栃木県は2026年8月31日、株式会社ライフワンが高根沢町で運営する共同生活援助事業所「ライフワンホーム高根沢宝積寺」について、障害福祉サービス事業者としての指定の一部効力を1カ月停止すると公表した。処分期間は9月1日から30日までで、この間、共同生活援助の新規利用者を受け入れることができない。県は障害者総合支援法50条1項に基づき、人格尊重義務違反、運営基準違反、関係法令違反を処分理由としている。

県が確認したのは、2025年5月から7月にかけて職員が利用者に対して行った暴言、突き飛ばし、押さえ付け、腕や脚を持って引きずる行為、手にかみつく行為など7件。このうち3件について、利用者の支給決定自治体から虐待の報告を受けた。事業所では、虐待に関与した職員を含む11人に虐待防止と身体拘束適正化の研修を実施しておらず、虐待防止委員会でも再発防止策を検討せず、開催結果を職員へ周知していなかった。職員が行為を虐待と認識せず、市町村への通報も行わなかったため、県は障害者虐待防止法3条と16条1項への違反も認定した。

障害者虐待防止法は、施設従事者などによる虐待を発見した人に市町村への通報を義務付けている。本人や家族からの申告を待つ制度ではない。厚生労働省の2024年度調査では、障害者福祉施設従事者等による虐待について全国で5,870件の相談・通報があり、1,267件が虐待と判断され、被虐待者は2,010人だった。虐待防止を担当職員個人の判断に委ねず、研修、委員会、通報、記録、再発防止を組織として機能させる必要がある理由は、この制度構造にもある。

今回の処分で見るべき点は、暴力的行為をした職員だけを切り離して考えられないことだ。虐待を虐待として認識できる研修が11人に実施されておらず、委員会による再発防止も機能しなかったことを県は処分理由として明示している。9月30日で新規受入れ停止期間が終了しても、それだけで虐待防止体制の改善が確認されたことにはならない。株式会社ライフワンが研修、虐待防止委員会、通報手順をどのように再構築し、現在の利用者の安全確保を継続するかが、処分後に確認すべき事項となる。

出典

栃木県「指定障害福祉サービス事業者の行政処分について」
URL:https://www.pref.tochigi.lg.jp/e05/houdou/houdou/2026_0831_shobun.html

出典 厚生労働省「令和6年度都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67304.html

人権ニュース編集部

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