1.認定NPO法人ACEが7月7~9日、神奈川県葉山町で2025-26年度の活動評価と中長期戦略を検討する3日間の合宿を実施した。
2.ILO・UNICEFの最新推計では2024年時点で約1億3,800万人の子どもが児童労働に従事し、国際社会は2025年までの撤廃目標を達成できなかった。
3.ACEは個別事業の振り返りだけでなく、「システム思考」を用いて対症療法と根本課題を区別し、今後のインパクトと事業の関係を再検討した。

認定NPO法人ACEは7月7~9日、神奈川県葉山町の湘南国際村センターで、現地とオンラインを組み合わせた2泊3日の職員合宿を実施した。初日は2025-26年度の各プロジェクトについて成果、課題、次のアクションを確認し、2日目には組織内で生じている問題を「対症療法」「副作用」「根本課題」に分けて考えるワークを行った。最終日は過去約30年間の世界、ACE、スタッフ自身の出来事を年表で振り返り、短期・中期・長期で目指すインパクト、事業、対象、強み、連携先を検討した。ACEは1997年、学生5人が立ち上げたNGOで、2005年にNPO法人化、2010年に認定NPO法人となっている。
内部研修だけを取り上げれば、通常は組織運営上の話題にとどまる。ただ、今回の戦略検討が行われた時期は、児童労働をめぐる国際社会にとって一つの節目の後に当たる。ILOとUNICEFが2025年6月に公表した最新推計では、2024年に児童労働に従事していた5~17歳の子どもは約1億3,800万人。このうち約5,400万人が健康、安全、発達を害する危険有害労働に従事していた。2020年からは2,000万人以上減少したものの、SDGsで掲げられた「2025年までにあらゆる形態の児童労働を終わらせる」という目標は達成できなかった。児童労働の61%は農業分野で発生しており、貧困、教育、社会保障、成人の雇用、企業の調達など複数の要因が絡む。
ACEが今回、「システム思考」を使って活動を振り返った点は、この児童労働の構造的性格と重なる。ACE自身も行動指針として、社会課題を部分ごとではなく相互につながるものとして捉え、「対症療法ではなく、根本的な解決」を目指すと説明している。これまで同団体はガーナのカカオ生産地やインドでの活動に加え、日本企業との連携、消費者啓発、アドボカシー、日本国内の児童労働への取組などへ活動領域を広げてきた。2020年にはガーナで「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン」のガイドライン文書を発行し、2025年には『児童労働白書2025―ビジネスと児童労働―』も公表している。個々の子どもへの支援から企業、地域、政策へ働きかける方法へ対象を広げてきた約30年を、改めて一つの構造として検討した形だ。
ただし、組織内で対話を重ねたり「未来ストーリー」を描いたりしたこと自体を、児童労働削減の成果とみなすことはできない。人権団体の戦略を評価するには、組織開発の方法論より、その結果としてどの子どもや地域、企業行動、制度にどのような変化を生じさせたのかを確認する必要がある。ACEは今回、今後のインパクトターゲットや共創パートナーまで議論したとしているが、新たな戦略や具体的な成果指標はまだ公表しておらず、「詳細は改めて報告する」としている。世界でなお約1億3,800万人が児童労働下にある現在、ACEが今回の検討を次年度の事業計画にどう反映し、個別事業の実績と子どもの権利へのインパクトをどのように結び付けて示すのかが、次に検証できる点となる。
ACE「26年7月 3日間の合宿で、ACEの過去・現在・未来を見つめ直しました」
URL:https://acejapan.org/info/2026/07/356486
ACE「活動理念・戦略」
URL:https://acejapan.org/about/mission
ILO・UNICEF「Despite progress, child labour still affects 138 million children globally」
URL:https://www.unicef.org/press-releases/despite-progress-child-labour-still-affects-138-million-children-globally-ilo-unicef
