日本弁護士連合会は2026年3月17日、千葉刑務所拘置区における閉居罰の運用をめぐる人権救済申立事件について、千葉刑務所に勧告を行った。対象となったのは、同拘置区に収容されていた未決拘禁者に対し、閉居罰の期間中、長時間にわたり一定の姿勢を保つよう求めた運用である。報道等によれば、背筋を伸ばして正面を向く姿勢を長時間維持させる内容で、健康被害の危険性も指摘された。
閉居罰は、刑事施設内の規律違反に対する懲罰の一つで、一定期間、単独室で過ごすことを中心とする処分である。刑事施設には安全確保や秩序維持の必要がある一方、懲罰は法律に基づき、必要かつ相当な範囲で行われなければならない。特に未決拘禁者は、刑が確定していない立場にあり、逃亡や証拠隠滅の防止など収容目的を超えて、身体的・精神的苦痛を加えるような処遇は厳しく慎重に検討されるべきである。
日弁連が問題視したのは、閉居罰そのものの是非にとどまらず、その執行方法が被収容者の健康や尊厳を不当に害するおそれがある点である。長時間にわたる同一姿勢の保持は、身体的な苦痛を伴うだけでなく、血流障害やいわゆるエコノミークラス症候群の危険を生じさせる可能性がある。刑事施設における懲罰は、規律違反への対応であっても、被収容者の人格を否定したり、身体に危険を及ぼしたりする方法で実施されてはならない。
刑事施設内の人権問題は、社会から見えにくい場所で起きるため、外部からの監視や救済制度が重要となる。被収容者は、自由を大きく制限され、施設職員との関係でも立場が弱くなりやすい。処遇に問題があっても、声を上げにくく、申立て後の不利益を恐れる場合もある。日弁連の人権救済申立制度や刑事施設視察委員会などの外部的な仕組みは、密室化しやすい収容施設の運用を点検する役割を担っている。
今回の勧告は、刑事施設における懲罰運用を、単なる施設内規律の問題ではなく、身体の安全、人格の尊重、適正手続に関わる人権課題として捉え直す契機となる。千葉刑務所には、閉居罰の目的を超えて被収容者に過度な苦痛を与える運用を改め、健康状態への配慮、職員への指導、懲罰執行基準の明確化を進めることが求められる。刑事司法への信頼は、社会から見えにくい場所にいる人の権利がどのように扱われるかによっても問われる。

