ヤングケアラーの声を多職種支援へ 鳥取県が倉吉で研修

この記事のポイント

1.鳥取県が7月29日、倉吉市でヤングケアラー経験者の声を聴くフォーラムと支援者研修を開く。
2.滋賀県の上村文子氏が、学校と福祉による気づき、多職種連携、孤立を防ぐ関わり方を解説する。
3.2024年の法改正でヤングケアラーが支援対象に明記され、発見後に本人と家族を適切な支援へつなぐ体制が問われている。

鳥取県

鳥取県は2026年7月29日午後2時から4時まで、倉吉市駄経寺町の倉吉交流プラザ視聴覚ホールで「令和8年度鳥取県ヤングケアラー支援フォーラム及び関係機関職員研修」を開く。県民の理解を広げるフォーラムと、教育、福祉、行政などの支援者を対象とする研修会を一体で行う。参加費は無料で、申込みは7月27日に締め切られた。会場での開催後、録画配信も予定している。

第1部の「ケアラートークセッション」には、ヤングケアラー・若者ケアラー経験者がオンラインで登壇する。家族を思う気持ちと、自分の生活や将来を優先したい気持ちの間で生じる葛藤、周囲から見えにくい日常を本人の言葉で伝える。家族の世話を担うこと自体を否定するのではなく、本人が困難を自覚していない場合や、家族への配慮から相談をためらう場合を含め、支援側がどのように気づくかが主題となる。

第2部では、滋賀県子ども若者部子どもの育ち学び支援課の子ども若者ケアラーコーディネーター、上村文子氏が「日常の延長でできるヤングケアラー支援~気づきをつなぎ、孤立させない多職種連携~」と題して講演とワークショップを行う。上村氏は児童虐待や貧困など複合的な課題を抱える家庭への支援に携わり、2012年から滋賀県教育委員会のスクールソーシャルワーク事業を指導してきた。学校と福祉の情報をどう重ね、日常の小さな変化を相談支援へつなぐかを扱う。

2024年6月施行の改正子ども・若者育成支援推進法は、ヤングケアラーを「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として、国や地方公共団体などが支援に努める対象に明記した。ここでいう「過度」とは、家事や世話の有無だけで判断するものではない。学習、遊び、就職準備などに必要な時間が奪われたり、身体的・精神的な負荷によって生活上の困難が生じたりしている状態を指す。本人の年齢、ケアの内容、家庭状況を切り分けて確認する必要がある。

鳥取県は2022年6月から、ヤングケアラー本人、家族、周囲の関係者が利用できるLINE相談を24時間365日受け付けている。相談窓口があっても、学校、医療、介護、障害福祉の各機関が家庭内の変化を別々に把握するだけでは、本人への支援には結び付きにくい。7月29日のフォーラムで示される経験者の声と上村氏の実践を、鳥取県のLINE相談や市町村、学校などの具体的な連携手順へ落とし込めるかが、研修後の課題となる。

出典

鳥取県「令和8年度鳥取県ヤングケアラーフォーラム・研修会の開催」
URL:http://db.pref.tottori.jp/pressrelease.nsf/webview/C74A4282E8FCF9B349258E4100096FAE?OpenDocument

参考資料 鳥取県「ヤングケアラー フォーラム・研修会」
URL:https://www.pref.tottori.lg.jp/308028.htm

参考資料 こども家庭庁「ヤングケアラーについて」
URL:https://www.cfa.go.jp/policies/young-carer

参考資料 鳥取県「鳥取県ヤングケアラーLINE相談窓口」
URL:https://www.pref.tottori.lg.jp/305835.htm

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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