1.中国・四国9県のエイズ治療拠点病院や行政機関が7月30日、鳥取県米子市で連絡協議会を開く。
2.HIV陽性者の高齢化、多職種診療、地域連携、患者と医療者による共同意思決定を議題とする。
3.患者からの提言では撮影・録音を制限し、医療への参加機会と個人情報の保護を両立させる。

鳥取県は7月30日午後2時から4時30分まで、米子市加茂町二丁目の国際ファミリープラザで「令和8年度第1回中国・四国ブロックエイズ治療拠点病院等連絡協議会」を開く。中国・四国のエイズ治療拠点病院、中核拠点病院、各県・政令市、広島県臨床心理士会などが参加し、地域間の連携とHIV医療水準の向上を協議する。協議会は広島県を事務局として年2回開かれており、今回は鳥取県が開催地となる。
報告では、鳥取県立中央病院HIVサポートチームが「多職種で支えるHIV診療」、鳥取県福祉保健部感染症対策センターの赤瀬梨沙保健師が県内のエイズ対策、鳥取大学医学部附属病院感染症内科の岡田健作講師が「HIV感染者の将来的高齢化に備えた地域連携」を扱う。患者からの提言に続き、東京慈恵会医科大学附属病院感染症内科の保科斉生准教授が「HIV治療多様化時代における共同意思決定の重要性」を講演する。診療技術だけでなく、患者の生活状況や意思を治療方針に反映する仕組みまでが議題に含まれる。
厚生労働省は、全国を8ブロックに分けてエイズ治療の拠点病院を整備し、中国・四国ブロックでは広島大学病院、県立広島病院、広島市立広島市民病院を地方ブロック拠点病院としている。2025年4月改正の通知は、医師、看護師、ケースワーカー、カウンセラーらによる総合診療体制、患者・感染者の意見を聞く機会、苦情相談窓口、拠点病院間の診療ネットワークを明記した。今回の米子市での協議は、この広域医療体制を地域の診療現場へつなぐ実務の場となる。
人権上の論点は、適切な医療へのアクセス、診療上の自己決定、個人情報の保護にある。鳥取県は「患者からの提言」について、個人が特定されないよう撮影と録音を控えることを求め、患者団体が着席する会場後部も撮影対象外とした。UNAIDSは、HIVに関連する偏見や差別が医療、就労、教育、プライバシーなどの権利を損ない、検査や治療への接続を妨げると整理している。患者の発言機会を確保しながら、本人の特定や望まない情報開示を防ぐ運営は、医療会議の内容と同じ程度に慎重さを要する。
HIV感染症は長期療養が可能となった一方、高齢化、合併症、メンタルヘルス、介護・福祉との接続が診療上の課題となっている。2025年11月改定の国の予防指針も、拠点病院だけで完結させず、地域の医療機関、保健医療サービス、介護・福祉サービスを結ぶ体制を示した。7月30日の協議会では、鳥取県立中央病院、鳥取大学医学部附属病院、鳥取県感染症対策センターによる報告と患者からの提言が、地域で継続して治療と生活を支える連携策にどう結び付くかが問われる。
鳥取県「令和8年度第1回中国・四国ブロックエイズ治療拠点病院等連絡協議会の開催」
URL:http://db.pref.tottori.jp/pressrelease.nsf/webview/6E62481A663337FA49258E41001D0B77?OpenDocument
参考資料 厚生労働省「エイズ治療の地方ブロック拠点病院の整備について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9073&dataType=1&pageNo=1

