兵庫県、認知症・介護から考える事業承継 「元気なうち」の備え

この記事のポイント

1.兵庫県とアクサ生命保険神戸支社が9月15日、認知症や介護を題材に事業承継セミナーを開催
2.経営者本人の判断能力や介護が経営継続に影響する前から承継を考える構成
3.認知症と成年後見制度を短絡的に結びつけず、本人の意思を尊重した早期の準備が重要な論点となる

司法書⼠法⼈芝事務所 代表芝知美氏

兵庫県とアクサ生命保険神戸支社は9月15日午後1時30分から、尼崎商工会議所で事業承継セミナー「元気な今だから考えたい事業承継」を開く。経営者、その家族、後継者などが対象で、認知症や介護といった突然生じ得る事情を事例に、事業承継経験者が解説する。講演後には事前申込制の個別相談会も設ける。兵庫県商工会議所連合会、尼崎商工会議所、西宮商工会議所が後援する。

事業承継と認知症を組み合わせた今回のテーマは、中小企業経営者の高齢化という経済政策上の問題と、本人の意思決定をどう支えるかという権利上の問題が交差する。中小企業庁も、経営者の高齢化や後継者不在を事業継続上の課題として継続的に取り上げている。取引先や雇用、技術を維持するためにも、承継準備を経営者だけの私的問題として扱えない状況にある。

ただし、「認知症になれば直ちに経営判断ができなくなる」という整理は適切ではない。法務省が説明する成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分になった人の財産管理や契約などを保護・支援する制度であり、本人の状態に応じて法定後見や任意後見といった仕組みが用意されている。診断名だけで一律に本人の意思決定を否定する制度ではない。

そのため事業承継で重要になるのは、経営者が十分に意思を表明できる段階から、誰に事業を引き継ぐのか、どのような支援を受けるのかを話し合うことにある。これは単なる「認知症対策」ではなく、本人の意思と企業の継続性を可能な限り両立させる準備といえる。家族だけで抱え込まず、商工団体、士業、金融機関などに早く相談することが、突発的な介護や健康問題が起きた後の選択肢を狭めないことにつながる。

兵庫県は今回、一般講演だけで終えず個別相談会を組み込んだ。実施後に、相談を契機として具体的な承継準備に進んだ事業者がどの程度あったかを把握できれば、「元気な今だから考える」というセミナーの狙いをより実務的に検証できる。

出典

兵庫県「事業承継セミナー『元気な今だから考えたい事業承継』」
URL:https://web.pref.hyogo.lg.jp/sr07/press/20260817.html

中小企業庁「2025年版中小企業白書 第9節 事業承継」
URL:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_9.html

法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」
URL:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html

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人権ニュース編集部

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