1.メディパルグループの男性従業員1,000人超が、男性育休を扱う大規模なランダム化比較試験に参加した。
2.2時間の職場研修により、父親の週末の育児時間は1日約1時間、配偶者の労働時間は週3.6時間増えた。
3.研修と育休取得率上昇の因果関係は未確認で、取得期間や人事評価への影響を含む継続的な検証が課題となる。

株式会社メディパルホールディングス(東京都中央区、渡辺秀一代表取締役社長)は2026年7月21日、男性の育児休業取得を促す職場研修の効果を検証したランダム化比較試験(RCT)に、グループの男性従業員1,000人超が参加したと公表した。研究は東京大学、同志社大学、筑波大学と一般社団法人EVIDENCE STUDIOが共同で実施し、民間企業2社と地方自治体2団体の計4組織から1,200人超を分析対象とした。
実験は2023年8月から2024年3月まで、80職場を無作為に2群へ分けて行った。介入内容は、NPO法人ファザーリング・ジャパンが開発した2時間のオンライン研修で、男性講師が育児参加とキャリアの両立を説明し、管理職向けには部下の育休取得を支えるコミュニケーションや業務体制も扱った。別の介入では、同僚の86%が男性育休に好意的であるのに、従業員は賛成者を54%程度と見積もっていた認識差をデータで伝えた。
研修を受けた父親の週末の育児時間は、1日当たり約1時間、割合では16%増えた。5歳以下の子どもがいる家庭では増加幅が2.3時間に達し、配偶者の労働時間も週3.6時間、18%増加した。父親の育児時間が増えても母親の育児時間は減らず、家庭全体で子どもに関わる時間が増えた点も特徴である。育休制度を自ら調べた参加者は16ポイント増えたが、周囲の賛成度を知らせる情報提供だけでは、取得意向や情報収集行動の変化につながらなかった。
メディパルグループは、育休を取得した男性従業員と上司のインタビューを社内配信し、株式会社メディセオでも2025年度に約1か月の育休を取った男性MS3人の座談会を記事化した。男性従業員の育休取得率は2024年度の58.9%から2025年度の74.7%へ上昇している。全国の民間企業では2024年度の男性取得率が40.5%であり、同社の水準はこれを上回る。
この研究が示したのは、制度を知らせるだけでなく、会社が勤務時間内の研修として育児参加を承認し、管理職を含めて業務の引継ぎや評価への不安を扱うことが、家庭内の行動を変え得るという点である。育児休業を不利益への恐れなく利用できる環境は、男性が家族生活に参加する権利と、女性に偏りやすい家事・育児負担を軽減して就業を継続する機会の双方に関わる。
ただし、RCTが確認したのは数か月後までの育児時間などで、実際の育休取得率を押し上げた因果関係までは立証していない。参加も任意で、対象は4組織に限られる。メディパルホールディングスが掲げる2030年度の男性育休取得率100%に向けては、取得率だけでなく取得期間、復職後の配置、代替要員への負担、昇進・評価への影響を継続して検証する必要がある。
株式会社メディパルホールディングス
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000160226.html
東京大学・同志社大学・筑波大学「父親の『育休研修』が家庭を変える」
URL:https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400289752.pdf
東京大学政策評価研究教育センター「Workplace Norms and Paternal Involvement in Childcare」
URL:https://www.crepe.e.u-tokyo.ac.jp/results/2026/crepedp202.html
厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」
URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r06/06.pdf

