秋田県、障害者・シニア雇用事例公開 職務設計と現場支援

この記事のポイント

1.秋田県が2025年度に実施した、障害者とシニアの雇用促進セミナーや企業見学会の内容を公開した。
2.株式会社リチャードソンイトウは、週1~2日の勤務や業務の明確化により、シニアの技術と経験を生かしている。
3.秋田ダイハツ販売株式会社は、既存業務の切り出し、職場全体での指導、特別支援学校との連携を進めている。

秋田県のシニア・障がい者雇用促進セミナー

秋田県は、2025年度「障害者とシニアの活躍応援事業」で実施した雇用促進セミナーと県内企業見学会の内容を公開した。県内企業の経営者や人事担当者を対象とし、障害者やシニアの特性、経験に応じた業務の選定、職場環境の整備、採用時に企業の魅力を伝える方法などを扱った。セミナーは2025年10月22日、秋田市のにぎわい交流館AUで開かれ、午前にシニア雇用、午後に障害者雇用を取り上げた。

シニア雇用の企業見学会は11月12日、潟上市の株式会社リチャードソンイトウで実施された。同社は木材用刃物を中心とする工業用刃物の研磨加工を手がけ、M&Aを通じて専門技術を持つシニア人材を受け入れている。買収先企業の経営者を5年契約で迎えた事例もあり、30代の若手社員から70代の経営経験者までが働く。シニア社員の中には週1~2日の勤務者がおり、「業務の引継ぎ」「配達」など担当業務を明確にすることで、経験を生かしながら働ける環境を整えた。

同社は、工場内の床に事故防止用のラインを設け、作業場所を整理するなど、身体的な負担と事故の危険を抑える設備面の対応も進めている。シニア雇用を単なる人手不足対策とせず、若手社員への技術伝承と結び付けている点が特徴となる。勤務日数、職務内容、設備の安全性を個別に調整する方法は、年齢だけを理由として就業機会を狭めないための実務でもある。

障害者雇用の見学会は11月13日、秋田市の秋田ダイハツ販売株式会社で開かれた。同社は2021年3月、障害者雇用に関する取組が優良な中小事業主を認定する「もにす認定」を秋田県内で初めて取得した。秋田県の見学レポートは、同社の障害者雇用率を7.29%と紹介している。障害のある従業員のために新しい仕事を別に設けるのではなく、既存業務から資格を必要としない作業を抽出し、店舗の業務を担う人材として配置している。

指導を特定の担当者だけに任せず、職場の従業員全体が関わる体制も採用した。特別支援学校の1、2年生から実習を受け入れ、本人の適性と職場との相性を確認した上で、実習を担当した現場が採用を判断する。採用後に課題が生じた場合も学校と連携して対応する。人事部門だけで採用を決めず、実際に働く部署が受入れと指導に責任を持つ仕組みは、早期離職を防ぐための具体的な運用となっている。

障害者やシニアの就業機会は、採用枠を設けるだけでは広がらない。株式会社リチャードソンイトウの勤務日数と業務範囲の調整、秋田ダイハツ販売株式会社の既存業務の切り出しと学校連携は、働く人に一方的な適応を課さず、企業側が職務と職場環境を組み直した事例である。秋田県雇用労働政策課が公開した二つの見学レポートは、採用、配置、指導、定着を別々の課題として管理するための材料を県内企業に示している。

出典

秋田県「『シニア・障がい者雇用促進セミナー』等を開催しました!」
URL:https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/91314

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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