1.長野県内5か所の児童相談所における令和7年度の児童虐待相談対応件数は2,559件で、前年度比90.3%だった。
2.配偶者等からの暴力、いわゆるDVの相談件数は1,875件で、前年度から188件、11.1%増加した。
3.被措置児童等虐待は3件で、施設職員による虐待2件、里親による虐待1件について県が措置を講じた。

長野県は2026年6月29日、令和7年度の児童虐待相談対応状況と配偶者等からの暴力、いわゆるDVの相談状況を公表した。県内5か所の児童相談所における児童虐待相談対応件数は2,559件で、前年度の2,833件から274件減少した。前年度比は90.3%で、令和3年度以降では4年ぶりの減少となった。
虐待の種別では、心理的虐待が1,427件で最多だった。次いで身体的虐待が712件、ネグレクトが371件、性的虐待が49件となっている。全体件数は減少したが、身体的虐待は前年度の627件から85件増え、構成比も27.8%に上昇した。性的虐待も前年度の26件から49件へ増えており、件数の多寡だけでは把握しにくい深刻さが残る。県は、心理的虐待が最多となる背景として、児童のいる家庭における配偶者間暴力、いわゆる面前DVや、きょうだいへの虐待を目撃する事案について警察からの通告が多いことなどを挙げている。
相談経路では、警察からの通告が1,022件で全体の39.9%を占め、最も多かった。市町村は509件、家族・親戚は297件だった。児童相談所の対応内容では、面接指導が全体の9割以上を占め、施設入所等の措置は減少傾向にある。子どもを家庭から分離する以前の段階で、児童相談所、市町村、学校・教育委員会、医療機関などがどう関与するかが、相談件数の増減以上に実務上の課題となる。
DV相談件数は、女性相談支援センター、男女共同参画センター「あいとぴあ」、県保健福祉事務所10所、女性相談支援員が配置されている19市が受け付けた相談の合計で1,875件だった。前年度から188件、11.1%増えた。相談総件数も1万1,603件で、前年度比104.5%となっている。県は、令和6年度から「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が施行され、DV相談を含む幅広い相談への対応が求められるようになったことも、相談総件数の増加に関係していると説明している。
児童虐待とDVは、別々の相談統計として整理される一方、家庭内で重なり合う場合がある。面前DVは子どもへの心理的虐待に当たり得るため、DV被害者支援と児童保護を切り離すと、子どもの安全確認や保護者への支援が遅れるおそれがある。人権上の論点は、子どもの安全と発達、被害を受けた女性等の生活再建、家庭内暴力を外部から把握しにくい構造を、行政の相談体制がどこまで補足できるかにある。
県が対応した被措置児童等虐待は3件だった。内容は、施設職員が入所児童に身体的虐待を行った事案、施設職員が入所児童に身体的虐待および心理的虐待を行った事案、里親が委託児童に身体的虐待を行った事案である。県は当該施設への指導と、当該里親の登録抹消を講じた。長野県こども・家庭課は、児童虐待・DV24時間ホットラインや児童相談所、女性相談支援センター等の窓口を通じて、家庭内と施設内の双方で子どもと被害者の安全確保を進めることになる。
長野県「令和7年度の児童虐待相談対応状況及び配偶者等からの暴力(DV:ドメスティック・バイオレンス)相談状況等をお知らせします」
URL:https://www.pref.nagano.lg.jp/kodomo-katei/happyou/20260629press.html
長野県「令和7年度児童虐待相談対応件数及びDV相談件数について」
URL:https://www.pref.nagano.lg.jp/kodomo-katei/happyou/documents/r8_press.pdf

