1.新潟県と新潟市は水俣病認定申請28件を審査し、認定0件、棄却21件、保留7件とした。
2.2026年7月末までの申請は2,791件に達し、717件が認定される一方、49件が未処分となっている。
3.公害健康被害補償法上の「認定」と、政治解決や特別措置法など別の救済制度は区別して理解する必要がある。

新潟県は8月10日、第104回新潟県・新潟市公害健康被害認定審査会の答申を受けた水俣病認定申請28件について、認定0件、棄却21件、保留7件とする処分結果を公表した。新潟県分は17件のうち13件を棄却、4件を保留し、新潟市分は11件のうち8件を棄却、3件を保留した。2026年7月末までの累計申請は2,791件で、717件が認定、1,679件が棄却され、49件が未処分となっている。
阿賀野川流域の新潟水俣病は1965年5月に公式確認され、2026年で61年を迎えた。環境省によると、水俣病は工場から排出されたメチル水銀化合物が魚介類に蓄積し、それを摂取した住民に生じた中毒性の神経疾患である。認定は公害健康被害の補償等に関する法律に基づいて行われ、環境省の2025年版資料では、2024年12月末までに新潟県関係で716人が認定されていた。今回の処分を反映した新潟県・新潟市の公表値は717件となった。
今回の数字で注意したいのは、「棄却」を水俣病問題全体についての否定と同一視しないことだ。今回の処分は、公害健康被害補償法に基づく行政上の認定申請に対する判断である。水俣病被害をめぐっては、この認定制度とは別に1995年の政治解決や2009年の水俣病被害者救済特別措置法による救済措置が設けられてきた。制度ごとに対象、判断方法、給付内容が異なるため、認定申請の棄却という結果を、他の救済制度や司法手続における判断まで含むものとして読むことはできない。
審査の難しさは時間の経過にも表れている。新潟県知事は、60年以上前の曝露状況と現在の症候、その因果関係を詳細に確認する必要があり、判断が難しい事例が増えていると説明した。申請者の曝露状況について参考人から意見を聴く審査も行われている。行政が古い公害被害を認定する場合、当時の生活圏、魚介類の摂取状況、医学的所見などを長期間経過後に再構成することになる。申請者の高齢化が進む中、残る49件の未処分案件をどの程度の期間で審査できるか、認定制度以外の救済との関係を申請者にどう説明するかも、新潟県と新潟市の実務上の確認事項となる。
新潟県「水俣病認定申請に係る処分について」
URL:https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/seikatueisei/syobunn104.html
環境省「令和7年版環境白書 水俣病対策」
URL:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r07/html/hj25020608.html
