佐賀の高校内「居場所」に企業版ふるさと納税 D×Pが寄付募集

この記事のポイント

1 認定NPO法人D×Pが、佐賀県の企業版ふるさと納税を通じて企業からの寄付を募集する。
2 寄付金は2027年度から、高校内の「居場所」、県内支援団体の連携、若者向け相談窓口の周知に使われる。
3 相談目的がなくても立ち寄れる校内拠点を設け、孤立した若者が支援につながる前段階の接点をつくる。

D×Pでは、佐賀県の企業版ふるさと納税制度

認定NPO法人D×P(ディーピー)は2026年6月22日、佐賀県の企業版ふるさと納税制度を活用し、企業からの寄付を受け付けると公表した。佐賀県は6月2日、2027年度に実施する「企業版ふるさと納税活用型CSO地域課題解決支援事業」として19事業を採択し、D×Pの若者支援事業も選定した。今回集める寄付は、高校内の「居場所」運営、県内のNPOや社会福祉法人との連携、LINE相談「ユキサキチャット」とAI相談「ミット」の周知に活用する。

D×Pは2025年5月15日、佐賀県基山町の学校法人東明館学園が運営する東明館高校で、教育相談教室を使った「居場所」を開設した。生徒は相談事項を用意しなくても立ち寄ることができ、スタッフや生徒同士で話すほか、ゲームをしたり、静かに過ごしたりできる。開設時は月1回、午後1時から4時までの運営で始まり、日常会話から困り事を把握して必要な支援につなぐことや、卒業後の進路相談まで続けて関わる形を掲げた。

佐賀県によると、県内の中学校と高校における2023年度の不登校者数は1,945人で、過去最多だった。不登校者数は学校との接点を失いつつある生徒の状況を示す数字だが、登校を続けながら教室や家庭で孤立している生徒までは捉えきれない。相談窓口を訪れるには、自分の悩みを認識し、他者へ説明する段階まで進む必要がある。これに対し、相談を利用すること自体を入室条件としない校内の居場所は、困難を言葉にできない生徒とも早い段階で接点を持てる。子どもの尊厳や教育を受ける機会を守るうえでも、支援の入口を複数設ける取組といえる。

企業版ふるさと納税では、企業の課税状況などに応じて、寄付額の最大約9割が法人関係税から軽減される。D×Pへの寄付は10万円以上で、佐賀県外に本社を置き、法人税を納めている企業が対象となる。個人事業主は利用できない。寄付金のうち3%は佐賀県の事務管理費となり、97%がD×Pの佐賀県内での活動資金に充てられるとしている。企業にとっては税制上の仕組みを利用しながら、地域の若者支援へ資金を振り向ける選択肢となる。

校内の居場所だけで、家庭、経済、進路など複数の問題に対応することは難しい。D×Pが計画する県内団体とのネットワークづくりと相談窓口の周知は、生徒が学校外の福祉、生活、就労支援へ移る経路を増やす取組でもある。D×Pと佐賀県が2027年度、企業から集めた寄付を東明館高校などの校内拠点、県内団体との連携、ユキサキチャットとミットの周知へどのように配分し、若者との接点を維持するかが事業の継続性を判断する材料となる。

出典

認定NPO法人D×P「企業版ふるさと納税での寄付受付―佐賀県の高校内『居場所』事業を支える」
URL:https://www.dreampossibility.com/news/18793/

佐賀県「【令和9年度事業実施】企業版ふるさと納税活用型CSO地域課題解決支援事業における支援事業を決定しました」
URL:https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003119619/index.html

佐賀県「企業版ふるさと納税活用型CSO地域課題解決支援事業について」
URL:https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00382603/index.html

認定NPO法人D×P「東明館学園と連携し、高校内に若者の居場所を設置」
URL:https://www.dreampossibility.com/news/15417/

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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