文科省、同志社国際高研修旅行を教育基本法違反と判断

この記事のポイント

1.文部科学省は5月22日、同志社国際高校の研修旅行等に関する把握事項と見解を示した。
2.京都府も同日、研修旅行の計画、安全管理、教育活動、学校の対応に課題があったとの見解を公表した。
3.辺野古移設工事に関する学習について、教育基本法第14条第2項に反するとされ、学校側は再発防止と教育活動の点検を進めるとした。

松本洋平文部科学大臣

文部科学省は5月22日、松本洋平文部科学大臣の記者会見で、同志社国際高校の研修旅行等に係る把握事項と見解を示した。文科省の会見ページでは、同日の主な論点として「同志社国際高校の研修旅行等に係る把握事項及び見解」や「同志社国際高校の学習活動を初の教育基本法第14条第2項違反とした判断の観点」が掲げられている。

事案は、令和8年3月に沖縄県名護市辺野古沖で、同志社国際高校の研修旅行中に発生した船の転覆事故を受けたもの。文科省は事故後、京都府と連携して確認を進め、京都府も5月22日、これまで把握した事項と府の見解を取りまとめて公表した。京都府資料によると、確認対象は「研修旅行」「安全管理」「教育活動の状況」「学校としての対応」の4項目である。

研修旅行の計画・事前準備では、ボート乗船に係る事前下見、引率教員の配置、生徒や保護者への事前説明に課題があったとされた。学校側は、事前下見が行われていなかったことについて安全管理意識が欠如していたこと、引率教員が同行していなかったことなど、重大な判断ミスがあったと説明している。京都府は、生徒の尊い命が失われる極めて重大な事態に至ったことを踏まえ、同校の安全確保は著しく適切さを欠いたものだったとした。

安全管理についても、危機管理マニュアルへの記載、安全確保に関する具体的な指導などに課題があったと整理された。学校側は、今回のプログラムの危険性について認識が甘く、訪問先と安全確保について十分に事前調整できていなかったこと、生徒に対して事前に安全に関する具体的な指導をしていなかったことを説明している。京都府は、同校の安全管理に対する認識は甘く、必要な対策を十分に講じていなかったとした。

教育活動の面では、辺野古の移設工事に関する学習の扱いが焦点となった。京都府資料では、平和について学習すること自体は学習指導要領にも明記されており、適切に実施されるべきものとした上で、辺野古コースでは抗議活動との関連や、生徒の考え・議論を深めるための様々な見解の提示を総合的に踏まえ、教育基本法第14条第2項に反すると考えられるとした。

人権上の論点は、子どもの安全と、政治的・社会的課題を学ぶ権利をどう両立させるかにある。平和学習や基地問題の学習は、地域の歴史、住民生活、安全保障、人権を考える教育活動になり得る。ただし、学校教育の場では、特定の立場への誘導ではなく、複数の見解を示し、生徒が自ら考える条件を整えることが求められる。生徒の命と安全を守る管理体制を欠いたまま、対立的な社会課題の現場に参加させることは、教育活動の自由とは別に厳しく検証されるべき問題である。

同志社国際高校は同日、文科省と京都府の見解・指導を踏まえた対応を公表した。学校は、研修旅行について「事前の計画や当日の対応、安全管理、教育活動の状況」が著しく不適切だったとの見解を重く受け止めるとし、危機管理マニュアルの見直し等による安全管理体制の再構築、教育活動の点検・見直しを含む適切な教育活動の徹底を進めるとした。

出典

文部科学省「松本洋平文部科学大臣記者会見録(令和8年5月22日)」
URL: https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00692.html

京都府「同志社国際高等学校の研修旅行等について」
URL: https://www.pref.kyoto.jp/koho/kaiken/documents/26052202.pdf

同志社国際高等学校「同志社国際高等学校の研修旅行等に関する対応について」
URL: https://www.intnl.doshisha.ac.jp/doshisha-info/wp-content/uploads/2026/05/%E5%90%8C%E5%BF%97%E7%A4%BE%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%81%AE%E7%A0%94%E4%BF%AE%E6%97%85%E8%A1%8C%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf

人権ニュース編集部

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