1.5月12日の法務大臣閣議後記者会見で、再審制度見直しに関する質疑があった。
2.平口洋法務大臣は、刑事訴訟法改正案について「更なる調整が必要」と説明した。
3.検察官抗告の制限、証拠開示、えん罪被害者の救済が主要な論点となっている。

5月12日に行われた平口洋法務大臣の閣議後記者会見で、再審制度を見直す「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」に関する質疑があった。記者からは、政府が自民党内の議論を踏まえ、再審開始決定に対する検察による不服申立ての原則禁止を、刑事訴訟法改正案の本則に記載できるか調整していることについて、現在の状況を問う質問が出された。
平口大臣は同法案について「5月7日、自民党の党内手続において、法務省の案をお示ししたものの、ご了承を頂くには至らなかった」と説明。「更なる調整が必要であると承知しています」と述べた。その上で、「現在対応を検討中」としつつ、「できるだけ速やかに閣議決定を経て国会に提出できるよう、引き続き、力を尽くしてまいりたい」と国会提出に向けた考えを示した。
質疑では、再修正案に盛り込まれたとされる「検察官の再審開始の決定について不服申立てをしてはならない。ただし、十分な理由があるときはこの限りではない。」との文言も取り上げられた。これに対し、平口大臣は、個別事件での検察当局の判断について「具体的な証拠関係等を踏まえて判断されてきたものであり、一概にお答えすることは困難」と説明。一般論として、検察当局は「公益の代表者として、法と証拠に基づいて、慎重に検討した上で」不服申立ての要否を判断しているものと承知している、とした。
記者側は、袴田事件を踏まえ、検察官抗告によって再審開始まで長期間を要した事例や、えん罪被害者の高齢化・死亡、証拠開示の消極性をめぐる問題を重ねて質問した。平口大臣は、制度上の抗告制限について「現在まだ調整中ですので、お答えは差し控えたい」と答えた。証拠の全面開示に関する見解についても、「今最終段階に入っていると思うのですが、調整中ですので、お答えは差し控えたい」と述べるにとどめた。
再審制度は、確定した有罪判決に誤判の可能性がある場合に、裁判をやり直す手続である。記者からは「再審制度は無辜の救済のための制度」とした上で、実際には検察官が長期間争い続けることで、救済よりも確定判決の維持が優先されているとの批判をどう受け止めるか、との質問も出た。平口大臣は「そういう指摘があることは承知しています」と述べたが、その指摘への具体的な見解については「お答えは差し控えたい」とした。
人権的視点から見ると、今回の質疑は、国家の刑罰権によって有罪とされた人が、誤判の可能性をどのような手続で争えるのかを問うものとなる。再審開始決定後に検察官の不服申立てが続けば、請求人本人や家族の負担は長期化する。証拠開示が不十分であれば、請求人側が新証拠を探し出す機会も制約される。5月12日の会見では、法案の結論が近いとする一方、平口大臣は「結論が近々出ると思いますので、それまでは、私からコメントすることは差し控えたい」と述べ、検察官抗告や証拠開示の具体的な制度設計への言及を避けた。

