足立区、養育家庭の体験発表会 東京都の里親委託17.5%から制度を考える

この記事のポイント

1.足立区が11月21日、養育家庭として子どもを育てる里親による体験発表会を開催する
2.養育家庭は養子縁組を目的とする制度ではなく、実親と暮らせない0~18歳の子どもを一定期間家庭で養育する仕組みである
3.東京都の里親等委託率は2023年度17.5%で、2029年度37.4%を目標としており、登録家庭の増加だけでなく継続支援も課題となる

足立区の養育家庭(里親)体験発表会

足立区は11月21日、ギャラクシティで「養育家庭(里親)体験発表会」を開催する。実際に養育家庭として子どもを迎えている里親が、子育ての喜びだけでなく、悩みや考えていることについて話す。定員は約50人。区が説明する養育家庭とは、さまざまな事情で実親と一緒に生活できない0歳から18歳までの子どもを家庭に迎え、一定期間養育する制度で、東京都では「ほっとファミリー」と呼ばれている。養子縁組を前提とする制度とは異なる。

この違いは里親制度を理解する上で重要である。社会的養護は、保護者がいない、虐待などにより家庭で適切な養育を受けにくい子どもを公的責任で養育・保護し、家庭そのものへの支援も行う仕組みを指す。こども家庭庁は「子どもの最善の利益」と、社会全体で子どもを育むことを基本理念としている。養育家庭では、子どもが実親との関係を持ちながら生活したり、状況が整えば家庭へ戻ったりする場合もあり、「里親になることは、自分の子どもとして養子にすること」と理解すると制度の目的を取り違える。

東京都の社会的養育推進計画を見ると、普及啓発が必要とされる背景が数字から分かる。都の里親等委託率は2019年度15.6%、2022年度17.2%、2023年度17.5%と上昇してきたが、都は全国平均より低い水準としている。2025~2029年度の計画では、2025年度23.5%、2026年度27.0%、2027年度30.5%、2028年度34.0%、2029年度37.4%という目標を設定した。2029年度の委託児童数は1,686人、必要となる里親登録数を2,677家庭と推計している。

ただし、登録家庭を増やせば、そのまま委託率が上がるわけではない。子どもの年齢、きょうだい関係、障害や心理的ケアの必要性、里親家庭の生活状況などを確認した上でマッチングする必要があり、登録後も研修や相談、委託後の継続支援が必要になる。東京都の計画も、里親の普及・登録拡大だけでなく、フォスタリング機関による里親家庭への支援強化を掲げている。施設で専門的なケアを受けることが適切な子どももいるため、「家庭養育か施設養育か」を単純な優劣として扱う制度ではない。

足立区の11月21日の発表会で、現役里親が「喜び」だけでなく「悩み」も語るのは、この制度の実態を伝える上で意味がある。東京都が2029年度の里親等委託率37.4%を掲げる中、里親候補を集める広報だけでなく、子どもの背景を理解し、委託後の家庭を地域と支援機関が支える仕組みまで知ってもらうことが、足立区の体験発表会を制度理解へつなげる鍵となる。

出典

足立区「養育家庭(里親)体験発表会」
URL:https://www.city.adachi.tokyo.jp/kodomo-genki/20261121.html

東京都福祉局「東京都社会的養育推進計画」
URL:https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/katei/suishinkeikaku/keikaku2

こども家庭庁「社会的養護」
URL:https://www.cfa.go.jp/policies/shakaiteki-yougo/

人権ニュース編集部

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