熊本県立東稜高校、いじめ13件認定の調査報告書を公開 学校の組織的対応も検証

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この記事のポイント

1.熊本県教育委員会が東稜高校のいじめ調査報告書を公開し、2021年度の元生徒に対する13件の行為がいじめと認定された。
2.調査委員会は、いじめと元生徒の適応障害や欠席との因果関係を認め、学校の情報共有や支援体制の課題を指摘した。
3.いじめ防止対策推進法に基づく重大事態調査を通じ、被害を受けた子どもの尊厳、教育を受ける機会、学校の組織的対応を考える。

孤独な教室といじめ重大事態

2021年度のいじめ事案、13件の行為を認定

熊本県教育委員会は2026年11月2日、県立東稜高等学校(熊本市東区)で2021年度に発生したいじめ事案について、「東稜高等学校いじめ調査委員会(令和5年度設置)」の調査報告書をホームページに掲載した。報告書は10月19日に調査委員会から学校を通じて県教育委員会へ提出されており、同委員会は元生徒に対する13件の行為をいじめと認定した。報告書の掲載期間は2031年11月1日までとなっている。

報道によると、元生徒は2021年4月に東稜高校へ入学。同級生から無視や悪口、通信アプリ上での誹謗中傷などを受け、同年9月には適応障害などと診断された。2021年度の欠席日数は29日に上り、年度末に転校した。調査委員会は14件の行為を検討し、13件をいじめと認定。いじめと適応障害、欠席との因果関係も認めている。

第三者調査で学校の対応を検証

今回の調査では、個別のいじめ行為だけでなく、学校が相談を受けた後の対応も検証された。調査委員会は、元生徒へのケアという視点が不足していたこと、いじめの認知や情報共有、組織的な対応が十分ではなかったことなどを指摘した。

再発防止策としては、学級担任だけで対応を抱え込まず、スクールカウンセラーなどの専門職を含むチームで生徒を支える仕組みや、相談体制の整備が提言されている。県教育委員会に対しても、学校以外の専門機関が関与できる体制づくりが提案された。

調査委員会の若曽根聡委員長は弁護士で、外部の専門家を含む委員会が事実関係を調べた。熊本日日新聞によると、東稜高校の藤本浩明校長は、元生徒と保護者への謝罪を表明し、報告書を精査したうえで学校の指導体制と支援体制を見直す考えを示した。

「重大事態」は重大な被害の疑いから調査する

この事案に適用されるのが、2013年施行の「いじめ防止対策推進法」である。同法は、学校に在籍する児童生徒が、一定の人的関係にある他の児童生徒から心理的または物理的な影響を受け、心身の苦痛を感じる行為を「いじめ」と定義する。インターネットを通じた行為も含まれる。

法律第28条では、生命、心身、財産に重大な被害が生じた疑いがある場合や、いじめによって相当の期間欠席を余儀なくされた疑いがある場合を「重大事態」として扱う。重大な被害が完全に証明された後だけでなく、疑いが生じた段階で調査を開始する仕組みである。

文部科学省は2024年8月、重大事態調査のガイドラインを改訂した。調査の目的は事実関係の解明に加え、被害を受けた児童生徒への支援や、同様の事態を繰り返さないための取組につなげることにある。

いじめの被害と教育を受ける権利

いじめによる人権侵害は、暴言や排除行為そのものだけに限られない。安心して授業を受けられなくなることや、学校生活を続けることが困難になることも、子どもの成長や進路に影響する。

国連の「子どもの権利条約」は、子どもの教育を受ける権利を第28条に定め、第12条では、子どもに影響する事項について意見を表明し、その意見を適切に考慮してもらう権利を保障している。

いじめの重大事態調査では、何が起きたのかを確認するだけでなく、被害を受けた児童生徒がどのような支援を希望しているかを把握することも関係する。同時に、調査対象となる他の児童生徒の権利やプライバシー、手続の公正を守る必要がある。

子どもの権利を守ることは、特定の児童生徒だけを優先することではない。被害の実態に応じた支援と、関係する児童生徒への適切な対応を組み合わせ、学校全体の安全を確保していくことにつながる。

調査結果を学校の支援体制に反映

熊本県教育委員会の公開ページには、今回の東稜高校の報告書のほか、ひのくに高等支援学校、大津高等学校などの調査報告書も掲載されている。事案ごとの事情を区別して読む必要があるが、学校が相談を受けた際の初動、情報共有、外部専門家との連携などを考える資料となる。

今回の事案では、元生徒が報告書について自らの尊厳が守られたと受け止め、再発防止につながることを望んでいると報じられた。

東稜高校と熊本県教育委員会は、調査委員会が示した認定事実と提言を受け、学校の指導体制、相談体制、支援のあり方について検討を進める。

出典

熊本県教育委員会「学校いじめ調査委員会」
URL:https://www.pref.kumamoto.jp/site/kyouiku/165574.html

熊本県教育委員会「東稜高等学校いじめ調査委員会 調査報告書」
URL:https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/life/283259_908757_misc.pdf

熊本日日新聞「『いじめで不登校』認定 熊本・東稜高第三者委が報告書」
URL:https://www.kumanichi.com/articles/2048295

テレビ熊本・FNNプライムオンライン「東稜高校に入学した生徒がいじめを受け転校」
URL:https://www.fnn.jp/articles/-/1135740

熊本放送「東稜高校のいじめ問題で第三者委が13件のいじめ認定」
URL:https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkk/3022800

文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの改訂について」
URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1400142_00006.htm

外務省「児童の権利に関する条約」
URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html

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人権ニュース編集部

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