1.横浜市教育委員会は8月14日、電車内で女性の下着をスマートフォンで撮影した市立小学校の男性教諭を懲戒免職とした。
2.教諭は性的姿態撮影等処罰法違反で略式起訴され、7月24日に罰金50万円の略式命令を受けていた。
3.2023年施行の同法は盗撮を全国共通の刑罰法規で扱う仕組みで、刑事責任とは別に教職員としての服務責任も問われた。

横浜市教育委員会は8月14日、市立小学校に勤務する60代の男性教諭を懲戒免職とし、退職手当等を全額不支給とした。市によると、教諭は6月24日午後6時ごろ、電車内で女性のスカート内の下着を自身のスマートフォンで撮影した。7月14日に性的姿態撮影等処罰法違反の疑いで逮捕され、同月24日に略式起訴されて罰金50万円の略式命令を受けた。校長についても監督者責任として厳重注意とした。
事件を「教職員の不祥事」だけで捉えると、被害を受けた女性の権利が見えにくくなる。性的姿態撮影等処罰法は2023年に成立し、大部分が同年7月13日に施行された。それまで盗撮は都道府県の迷惑防止条例などで処罰されることが多かったが、性的な部位や下着などを本人の意思に反して撮影する行為を全国共通の法律で処罰する仕組みが設けられた。保護される利益には、性的な姿を本人の意思に反して撮影されないことに関わる性的自由やプライバシーがある。単なる「迷惑行為」ではなく、デジタル機器を用いた性暴力として理解する必要がある。
横浜市教育委員会の「懲戒処分の標準例」は、児童生徒以外の者に対する行為についても、法律・条例等に違反するわいせつ行為を懲戒対象として明記している。今回の罰金50万円は刑事手続による制裁であり、懲戒免職は地方公務員としての身分関係について教育委員会が行う処分である。両者は目的と判断主体が異なるため、刑事処分を受けたことだけで服務上の責任が終了する仕組みではない。
公表資料から確認できる被害者は児童生徒ではなく女性であり、児童への性暴力事案と混同することも適切ではない。ただし、教育委員会が校外・勤務時間外を含む教職員の非違行為をどのように防止するかは別の課題として残る。横浜市教育委員会は今回、既存の取組を改めて点検し、教育への信頼回復に取り組むとしている。研修の回数だけでなく、スマートフォンによる盗撮を含むデジタル性暴力を具体的に扱っているか、その後の非違行為件数がどう変化するかまで検証対象となる。今回の処分は8月25日付の横浜市報に登載される予定だ。
横浜市教育委員会「教職員の懲戒処分について」
URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/kyoiku/2026/0814kisyahappyou.files/20260814web06.pdf
横浜市教育委員会「懲戒処分の標準例」
URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kyoiku/sesaku/jinji/fushoji/fushoji-boshi.files/0016_20251022.pdf
法務省「性犯罪関係の法改正等 Q&A」
URL:https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00200.html
