アンペイドワークとは

アンペイドワークとは、賃金や報酬が支払われない労働のことです。日本語では「無償労働」と訳されます。家事、育児、介護、地域活動、家族の世話などが代表的で、生活を支えるうえで欠かせない働きでありながら、経済的な価値や社会的評価が見えにくいという特徴があります。ケア労働も、アンペイドワークと深く関係する用語です。

1.アンペイドワークの意味

アンペイドワークは、報酬を伴わないものの、生活や社会を維持するために必要な労働を指します。食事の準備、掃除、洗濯、買い物、子どもの世話、高齢者や障害のある家族の介護、家族の通院付き添い、学校や地域での活動などが含まれます。

職場で賃金を得る労働は「ペイドワーク」と呼ばれます。これに対して、家庭内や地域で行われる多くの働きは、労働として認識されにくい傾向があります。しかし、家事やケアがなければ、子どもは育たず、高齢者や病気の人の生活も支えられず、働く人も日々の生活を続けることができません。

ケア労働とは、子ども、高齢者、病気の人、障害のある人など、他者の生活や身体、心を支える労働をいいます。介護職、保育士、看護職などの有償労働として行われる場合もありますが、家庭内では無償で担われることが多くあります。そのため、アンペイドワークとケア労働は重なり合う領域を持っています。

2.制度・法律との関係

アンペイドワークそのものを直接定義する単一の法律があるわけではありません。ただし、男女共同参画、労働、福祉、子育て支援、介護支援などの制度と密接に関係しています。

男女共同参画社会基本法は、男女が社会の対等な構成員として、社会のあらゆる分野に参画する機会を確保することを目的としています。家事、育児、介護が女性に偏る場合、女性の就業継続、昇進、所得、政治参加、社会活動への参加が制限されることがあります。そのため、無償労働の偏りは、男女共同参画の課題として扱われます。

育児・介護休業法は、育児や介護と仕事の両立を支える制度です。育児休業、介護休業、子の看護等休暇、介護休暇、短時間勤務制度などは、家庭内のケア責任を持つ人が職場から排除されないための仕組みです。ただし、制度があっても、利用しにくい職場文化が残れば、ケアの負担は特定の人に偏り続けます。

介護保険制度、子ども・子育て支援制度、保育施策、地域包括ケアなども、家庭内の無償労働を社会的に支える制度と関係します。家族だけにケアを担わせるのではなく、行政、職場、地域、専門職が支える仕組みを整えることが、アンペイドワークの負担を見える形にするうえで必要になります。

3.人権上の論点

アンペイドワークの人権上の論点は、誰が見えない負担を引き受けているのかという点にあります。家事、育児、介護が特定の性別や家族に偏ると、学ぶ機会、働く機会、休む時間、健康、所得、社会参加に差が生じます。これは単なる家庭内の役割分担ではなく、生活の選択肢を左右する人権課題です。

とくに女性は、家事・育児・介護を当然に担うものと見なされやすく、就業時間を短くしたり、非正規雇用を選ばざるを得なかったり、昇進や収入の機会を失ったりする場合があります。高齢の親の介護を担う人、ひとり親、ヤングケアラー、障害のある家族を支える人なども、無償のケア負担によって孤立や経済的不安を抱えることがあります。

アンペイドワークは、家庭の中で行われるため、外部から見えにくいという問題があります。「家族だから当然」「母親だから当然」「長男の妻だから当然」といった考え方があると、本人の負担や限界が見過ごされます。ケアを担う人の健康や生活が損なわれても、労働として評価されにくいことがあります。

アンペイドワークを考えることは、家事やケアを金銭に換算することだけを意味しません。誰が、どのくらいの時間と責任を負っているのかを見える形にし、性別や家族関係だけで負担が固定されないようにすることが中心になります。職場の働き方、保育・介護サービス、地域の支援、男性の家事・育児参加を含めて、無償労働を社会全体の課題として捉えることが必要です。

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