横浜市の人権作文コンテストに5万2820編 中学生の視点から差別や共生を考える

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この記事のポイント

1.第45回全国中学生人権作文コンテスト横浜市大会に、市立中学校120校から5万2,820編が寄せられた。
2.横浜市長賞など最優秀賞12作品、優秀賞13作品が決定し、11月21日に表彰式を実施する。
3.障がい、家族、言葉、思い込みなど、中学生の身近な経験を通して人権問題を考える作品が選ばれた。

横浜みなとみらいのイラスト

市内120校から5万2820編の応募

横浜市は2026年10月23日、「令和8年度全国中学生人権作文コンテスト横浜市大会」の審査結果を公表した。市立中学校120校から計5万2,820編の応募があり、最優秀賞12作品、優秀賞13作品を決定した。表彰式は11月21日に横浜市役所で行われる。

全国中学生人権作文コンテストは、法務省と全国人権擁護委員連合会が1981年度から実施している人権啓発事業で、2026年度は第45回に当たる。

中学生が日常生活や学校生活で経験した出来事を題材に作文を書くことで、人権尊重について考え、自分の考えを言葉にすることを目的としている。

横浜市大会では、まず各学校で319編を選考。その後、市立中学校教育研究会国語科部会の教員による第一次審査で53編、教育委員会事務局の指導主事による第二次審査で25編に絞られ、最終審査で各賞が決定した。

最終審査には、人権擁護委員、児童文学作家、PTA関係者、教育委員会職員、市の人権担当者らが参加した。

横浜市長賞は「ジブンゴト」

横浜市長賞には、横浜市立大綱中学校1年の松本晴さんの作品「ジブンゴト」が選ばれた。

横浜市教育長賞は、横浜市立釜利谷中学校3年の松永清楓さんの「『苦手』をこえて」が受賞した。

横浜人権擁護委員協議会長賞には、横浜市立高田中学校1年の道前陽音さんの「人はもっと助けられていい」、横浜市立岩井原中学校2年の長塚美澄さんの「障がいに対する本当の『理解』」が選ばれている。

横浜市人権擁護委員会長賞は、横浜市立中和田中学校2年の市野凜さんの「決めつけない心」と、横浜市立篠原中学校3年の中根彩結さんの「優先席の意味」が受賞した。

作品の題名からは、自分自身の問題として物事を考えること、障がいへの理解、人を助けること、無意識の思い込みなど、生活に密接したテーマが選ばれていることが分かる。

ただし、題名だけでは作品の具体的な内容や作者の主張までは判断できない。受賞作品がどのような経験を基に書かれたのかは、公開予定の作文集で確認できる。

スポーツチームも表彰に参加

横浜市大会では、地域のスポーツチームなどの名称を冠した賞も設けられている。

ニッパツ横浜FCシーガルズ賞には、横浜市立早渕中学校2年の藤田望美さんの「みえない『普通』にしばられて」が選ばれた。

横浜ビー・コルセアーズ賞は、横浜市立今宿中学校3年の吉永彩葉さんの「ランドセルがつないだ未来」が受賞した。

横浜キヤノンイーグルス賞には、横浜市立本宿中学校3年の北中彪羅さんの「きょうだい児で学べたこと」が選ばれている。

「きょうだい児」とは、一般に、障がいや病気のある兄弟姉妹を持つ子どもを指す言葉である。

家庭の状況によっては、兄弟姉妹への関心や支援が特定の子どもに集中し、きょうだい児自身の気持ちや生活上の困りごとが見えにくくなる場合もある。ただし、きょうだい児が一律に同じ経験や困難を抱えているわけではない。

横浜DeNAベイスターズ賞には、横浜市立寺尾中学校3年の今野志摩子さんの「『たまたま』を認め合える世界へ」、横浜F・マリノス賞には、横浜市立岡野中学校3年の須貝昊太さんの「あたり前の認識」、横浜FC賞には、横浜市立瀬谷中学校1年の及川瑚白さんの「言葉のお守りと、私の進む道」が選ばれた。

学校教育に加えて地域のスポーツ団体が表彰に関わることは、人権について考える活動を学校の外にも広げる接点となる。

優秀賞にも多様なテーマ

優秀賞13作品にも、身近な生活から人権を考える題名が並んだ。

横浜市立南中学校3年の青山ふじ子さんは「『ハーフ』ということばの向こう側」、横浜市立あざみ野中学校2年の李イェジュンさんは「三つの国を知る僕が、心の壁を壊す」で受賞している。

横浜市立鶴ケ峯中学校3年の知野見陽衣菜さんの「家族の形は一つじゃない」、横浜市立上菅田中学校2年の菅美凰さんの「違うことは恥ずかしいことではない」など、家族や個人の違いを題材とする作品も選ばれた。

言葉や表現の問題に関係する題名としては、横浜市立あかね台中学校2年の開發悠朔さんによる「言葉について考える」、横浜市立蒔田中学校2年の木口ヘェリさんによる「一番身近にある凶器」などがある。

受賞作品には、身近な人間関係を扱うものから、社会の価値観や他者との違いを考えるものまで、幅広い題名が並んでいる。

作文を書くことと人権教育の関係

人権教育は、法律の条文や差別の歴史を覚えるだけの学習ではない。

身近な出来事に疑問を持ち、その出来事を自分とは異なる立場から捉え、考えたことを言葉にすることも、人権について学ぶ過程に含まれる。

例えば、日常生活で何気なく使われる「普通」という言葉は、状況によっては特定の生活様式や価値観を当然のものとして扱う場合がある。

同じように、周囲の人の状態を十分に知らずに「決めつける」ことや、誰かの行動を外見だけで判断することも、差別や偏見と結びつく可能性がある。

中学生が自分の経験を振り返って文章にすることは、こうした考え方を検討するきっかけとなる。

全国中学生人権作文コンテストでは、各地の大会を通じて作品が選考され、都道府県大会や中央大会へと推薦される仕組みが設けられている。

横浜市大会の最優秀賞作品も神奈川県大会の優秀賞候補として推薦され、県大会の最優秀賞作品は中央大会へ推薦される。

12月1日から受賞作品を公開

横浜市は11月21日午後2時から3時まで、横浜市役所1階アトリウムで表彰式を行う。開場は午後1時15分を予定している。

受賞作文の全文を掲載した作文集は、12月1日以降、市のホームページで公開する予定だ。

作文集の公開によって、受賞者だけでなく、学校関係者や保護者、市民も、中学生自身がどのような経験から人権について考えたのかを知ることができる。

5万2,820編が寄せられた横浜市大会は、作文を書く活動と、その作品を地域で共有する活動を通じて、中学生の考えを人権学習につなげている。

出典

横浜市「令和8年度全国中学生人権作文コンテスト横浜市大会」
URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/shimin/2026/2026sakubun.html

横浜市「最優秀賞・優秀賞を決定しました」記者発表資料
URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/shimin/2026/2026sakubun.files/0003_20261022.pdf

横浜市「全国中学生人権作文コンテスト横浜市大会」作文集掲載ページ
URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo-manabi/jinken/sesakusuishin/sakubun-yokohama.html

出典 法務省「全国中学生人権作文コンテスト」
URL:https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken111.html

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人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、裁判所、企業、公益団体、国際機関などが公表する一次情報を確認し、差別、子ども、障害者、高齢者、教育、福祉、司法・制度、外国人、ビジネスと人権などに関するニュース、制度解説、独自調査を発信しています。記事では出典を明示し、事実関係を確認したうえで、関連する法制度や統計、過去の経緯などを参照しながら、人権上の論点や社会的背景を整理しています。

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