葛飾区でいじめ防止講演会 重大事態1404件、学校の責任と大人の役割

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この記事のポイント

1.葛飾区で10月25日、荻上チキ氏を講師とするいじめ防止講演会が開催される。 2.2024年度のいじめ重大事態は全国で1404件となり、学校の早期発見と組織的対応が課題となっている。 3.いじめ防止対策推進法と重大事態調査ガイドラインを踏まえ、子どもの安全、教育を受ける権利、学校の説明責任を考える。

葛飾区の「いじめ防止―大人の本気を教室に届ける講演会」

葛飾区で荻上チキ氏によるいじめ防止講演会

東京都葛飾区で2026年10月25日、NPO法人レインボーリボンが主催する「いじめ防止―大人の本気を教室に届ける講演会」が開催される。会場は葛飾区立男女平等推進センター「ウィメンズパル」の1階多目的ホールで、評論家の荻上チキ氏が講師を務める。葛飾区教育委員会が後援し、会場とオンラインの双方で参加できる。参加費は無料、申し込み期限は10月24日となっている。

講演会が取り上げるのは、有効ないじめ対策とは何か、周囲の大人に何ができるのかという問題である。2013年のいじめ防止対策推進法施行から13年が経過する中、学校にはいじめを早期に把握し、組織として対処する制度が整えられてきた。しかし、重大事態に至る事例は増えており、制度の存在と実際の対応の間に生じる問題を検証する必要がある。

いじめ重大事態1404件という数字の意味

文部科学省の2024年度調査によると、全国の小中学校、高校、特別支援学校で認知されたいじめは76万9022件に達し、過去最多となった。いじめ防止対策推進法第28条に基づく重大事態は1404件で、こちらも過去最多だった。

注目すべきなのは、重大事態の件数が増加したことだけではない。重大な被害を把握する以前に、学校がいじめとして認知していなかった事案も相当数存在した。

ただし、いじめの認知件数が多い学校ほど、いじめが深刻だとは限らない。小さな兆候も積極的に把握すれば認知件数は増える。他方、子どもが被害を訴えられない環境では、学校の認知件数が少なくても問題が潜在している場合がある。

したがって、学校の取組を評価する際には、認知件数の多寡だけでなく、被害を把握した後に安全確保や再発防止を行ったかを確認する必要がある。

法律が定めた学校の組織的対応

2013年9月28日に施行された「いじめ防止対策推進法」は、いじめを、一定の人的関係にある他の児童生徒が心理的または物理的な影響を与え、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じている行為と定義している。インターネットを通じて行われる行為も含まれる。

この定義では、加害行為をした児童生徒が悪意を認めるかどうかは、いじめの認知を判断する必須条件ではない。「遊びだった」「ふざけていただけ」という説明があっても、被害を受けた子どもが苦痛を感じている場合には、学校は法の定義に照らして対応する必要がある。

法律は学校に対し、いじめ防止基本方針の策定と、複数の教職員や専門家などで構成する対策組織の設置を義務付けている。担任が問題を一人で抱え込み、管理職や専門職に共有しない対応では、組織的な早期発見と対処が難しくなる。

重大事態の調査は「疑い」の段階から

いじめ防止対策推進法第28条は、生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがある場合や、いじめによって相当の期間欠席を余儀なくされている疑いがある場合を重大事態として定めている。

ここで重要なのは、いじめと被害の因果関係がすべて確定していなくても、重大事態に該当する疑いがあれば、法に基づく対応を検討しなければならないという点である。

学校が独自に「いじめが原因とは断定できない」と判断し、重大事態としての報告や調査を先送りすることは、法の趣旨と整合しない場合がある。

文部科学省は2024年8月30日、重大事態調査ガイドラインを改訂した。2026年3月19日にも、チェックリストを活用した平時からの備えについて通知している。

調査は、責任を負う人物を決めることだけが目的ではない。いじめがどの段階で始まり、学校がどの情報を把握し、なぜ被害の重大化を防げなかったのかを明らかにし、再発防止につなげる役割がある。

被害者保護と加害児童への教育的支援

いじめ対応では、被害を受けた子どもの安全を確保することが基本となる。そのうえで、加害行為をした児童生徒への指導、周囲で見ていた児童生徒への働きかけ、学級や学校の環境改善も必要となる。

ただし、被害者と加害者の双方に対応することは、両者に同じ責任を負わせることを意味しない。

例えば、被害を受けた子どもに謝罪の受入れや和解を促す際には、本人の意思と安全を確認する必要がある。表面的な仲直りを優先した結果、被害者が再び苦痛を訴えられなくなるようでは、問題を解決したとはいえない。

加害児童への指導でも、行為の責任を明確にしながら、なぜその行動が起きたのかを把握し、再発を防ぐ教育的支援を行う必要がある。

子どもに相談を促すだけで十分なのか

学校や家庭では、子どもに「困ったら相談するように」と伝えることが多い。しかし、相談した結果、周囲に知られて状況が悪化したり、大人から訴えを軽視されたりすれば、子どもは再び助けを求めることをためらう可能性がある。

相談制度の実効性は、窓口の数だけでは測れない。相談内容が適切に扱われたか、子どもが不利益を受けなかったか、必要な支援につながったかが問題となる。

子どもの権利条約第12条は、自己の意見を形成する能力のある子どもが、自分に影響を及ぼすすべての事項について自由に意見を表明する権利を定めている。いじめを受けた子どもの意見や希望を聴くことは、単なる配慮ではなく、子どもの権利保障と関係する。

葛飾区の講演会は、学校に対応を委ねるだけでなく、家庭、教育委員会、地域の大人が、子どもの声を受け止め、被害の重大化を防ぐために何ができるかを考える機会となる。

出典

葛飾区「いじめ防止―大人の本気を教室に届ける講演会」開催のお知らせ URL:https://www.city.katsushika.lg.jp/kosodate/1002752/1027554/1043768.html

出典 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
URL:https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_jidou02-100002753_1_3.pdf

出典 文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの改訂について(通知)」 URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1400142_00006.htm

出典 文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドラインのチェックリストを活用した平時からの備えに関する点検結果及び対応について」 URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1414737_00030.htm

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人権ニュース編集部

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