1.山梨県は8月21日、高校生・大学生を中心に「反うわさ戦略」を使って外国人住民への偏見を考えるワークショップを甲府市で開く。
2.県内の在留外国人数は2025年12月末で25,313人に達し、ベトナム5,026人、中国4,731人、ブラジル2,828人など住民の背景も多様化している。
3.反うわさ戦略は2010年にバルセロナで始まった手法で、単なる事実確認ではなく、データ、対話、市民ネットワークを組み合わせて偏見の形成過程に働きかける。

山梨県は8月21日、甲府市の「ぴゅあ総合」で、外国人住民をめぐる「うわさ」や「偏見」を考える多文化共生夏季ワークショップを開く。テーマは「うちの『うわさ』、世界のリアル。」。高校生・大学生を中心に30人を募り、都留文科大学准教授の上野貴彦氏が講師、CINGAコーディネーターの堀佳月氏がファシリテーターを務める。山梨県と公益財団法人山梨県国際交流協会は、参加者同士の対話を通じ、外国人住民に関する先入観が生まれる背景を考えるとしている。
県内の在留外国人数は2025年12月末で25,313人。ベトナム5,026人、中国4,731人、ブラジル2,828人など114の国・地域等に及び、県は外国人住民が県人口の3%に達したと説明している。外国人住民の増加を、雇用や日本語支援だけの課題として扱わず、地域住民側の認識や情報の受け取り方まで施策の対象にしている点が今回の特徴だ。県は2026年7月には「やまなし外国人労働環境適正化推進ネットワーク」への参加募集も始めており、生活、就労、地域関係を別々に扱わない施策を進めている。2025年7月にも同じ「反うわさ戦略」をテーマとする20人規模の研修会を開いており、今回は若い世代を主対象として継続する。
反うわさ戦略は、欧州評議会の「Intercultural Cities Programme」で展開されてきた手法で、2010年にバルセロナで始まった。単に誤情報へ数字を示して反論する方法ではない。地域で広がっている主なうわさを把握し、客観的データと感情に届く説明の双方を用意し、市民社会のネットワークをつくり、「反うわさエージェント」を育成するなど、認識と行動を長期的に変える政策手法として組み立てられている。CINGAも2026年5月から2年間、日本で研修プログラムの開発と全国的な実践者ネットワーク形成を進めている。
人権上の核心は、特定の出来事への評価と、国籍や出身を理由に集団全体を評価することを区別できるかにある。外国人住民に関する地域課題を議論すること自体を封じるのではなく、確認できる事実と推測を分け、個人の行為を「外国人」という集団属性に一般化しないための対話が必要になる。山梨県が2025年に続いて実施する反うわさ戦略のワークショップは、交流イベントから一段進み、偏見が形成・拡散される過程そのものを地域施策の対象にする試みといえる。実施後は、参加者の意識変化だけでなく、地域や学校で対話を担う人材が継続的に生まれるかまで検証する余地がある。
山梨県「外国人への『うわさ』や『偏見』を考える 多文化共生ワークショップを開催します」
URL:https://www.pref.yamanashi.jp/release/danjo-kyosei/0808/0821_hanuwasaworkshop.html
山梨県立国際交流・多文化共生センター「山梨県内の在留外国人数」
URL:https://www.pref.yamanashi.jp/documents/112113/yamanashiken_zairyugaikokujinsu_202512.pdf
山梨県立国際交流・多文化共生センター「『反うわさ戦略』研修会(2025年7月31日)」
URL:https://www.pref.yamanashi.jp/danjo-kyosei/danjo_gaikoku/gaikoku_20250731.html
山梨県「やまなし外国人労働環境適正化推進ネットワーク」
URL:https://www.pref.yamanashi.jp/danjo-kyosei/tekiseika_network.html
CINGA「反うわさ戦略 研修の開発と全国ネットワーク形成事業」
URL:https://www.cinga.or.jp/now/9167/
Council of Europe「Anti-rumours – Intercultural Cities Programme」
URL:https://www.coe.int/en/web/interculturalcities/anti-rumours

