1.東京都北区の昭和町・堀船高齢者あんしんセンターが9月12日、仕事と介護を両立するための心構えと準備を学ぶ家族介護者教室を開く。
2.厚生労働省によると、介護をしながら働く人は約365万人、家族の介護・看護を理由とする離職者は年間約10万6千人に上る。
3.2025年4月から企業側の個別周知や40歳前後での情報提供が義務化されており、職場の制度と地域の介護支援を早期につなぐことが介護離職防止の鍵となる。

東京都北区は9月12日、昭和町ふれあい館で家族介護者教室「仕事と介護の両立を続けられる心構え」を開催する。対象は、仕事と介護の両立に関心がある人や現在介護をしている人で、定員は30人。株式会社チェンジウェーブグループCCOの木場猛氏を講師に、自分の暮らしを維持しながら仕事と介護を続けるための心構えや準備を学ぶ。申し込みは8月20日からで、昭和町・堀船高齢者あんしんセンターが受け付ける。
この教室を「介護する家族向けの一般講座」とだけ捉えると、2025年以降の制度変化を見落とす。厚生労働省の仕事と介護の両立支援資料では、介護をしながら働く労働者は約365万人、家族の介護・看護を理由とする離職者は年間約10万6千人とされる。介護期間は平均4年7か月で、10年以上続くケースも14.8%ある。短期間の休暇だけで解決する問題ではなく、仕事、介護サービス、家族関係を数年単位で調整する可能性があることが、介護と育児の大きな違いの一つである。
制度面では、改正育児・介護休業法の介護関係規定が2025年4月1日に施行された。事業主には、介護休業や両立支援制度を利用しやすくするための研修、相談窓口などの雇用環境整備に加え、家族の介護に直面したと申し出た労働者への制度の個別周知と利用意向の確認が義務化された。介護に直面する前の40歳前後の労働者に対しても、介護休業や申出先、介護休業給付金などを知らせなければならない。介護のためのテレワーク導入も事業主の努力義務となっている。
ここで北区の家族介護者教室が担うのは、会社側の制度整備とは別の役割である。介護離職を防ぐには勤務先へ相談するだけでは足りず、介護保険サービスを利用し、地域包括支援センターやケアマネジャーに「働き続けたい」という希望まで伝える必要がある。厚労省も仕事と介護の両立のポイントとして、職場への申出、介護サービスの利用、地域包括支援センター等への相談を一体で示している。つまり企業の人事部門と地域の介護支援は、別々の制度でありながら同じ労働者の生活を両側から支える関係にある。
介護休業を「自分が介護に専念するための93日」と理解すると、長期化する介護への対応を誤りやすい。制度は介護サービスや家族内の役割、働き方を組み立て直すためにも利用できる。北区の教室についても、心構えの啓発だけで終わるのではなく、受講者が昭和町・堀船高齢者あんしんセンターへの相談、介護保険サービス、勤務先の両立支援制度へ具体的につながれるかが実務上の確認点となる。2025年の法改正で企業側の対応が強化された現在、地域包括支援センター側から「働く介護者」を支える取組の役割も明確になっている。
東京都北区「家族介護者教室『仕事と介護の両立を続けられる心構え』」
URL:https://www.city.kita.lg.jp/socialcare-health/elderly/1008626/1026263.html
厚生労働省「法改正のポイント|介護休業制度特設サイト」
URL:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/law-amendment/
厚生労働省「企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール」
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001521431.pdf
育児・介護休業法とは
URL:https://jinken-news.com/glossary/ikuji-kaigo-kyugyo-hou/
地域包括支援センターとは
URL:https://jinken-news.com/glossary/chiiki-hokatsu-shien-center/

