全国シェルターシンポ岡山、DV支援を「逃げる側」から加害者責任へ

この記事のポイント

1.第27回全国シェルターシンポジウムが10月17、18日に岡山市で開かれ、DV被害者支援や加害者責任を議論する。
2.ペット同伴避難、子ども・若者、テクノロジーを悪用したDV、支援者の二次受傷など、法律だけでは解消しにくい避難・支援上の障壁を扱う。
3.2024年施行の改正DV防止法で保護命令制度は拡充されたが、被害者が生活全体を捨てずに安全を確保できる仕組みは引き続き現場支援と接続する必要がある。

[第27回 全国シェルターシンポジウム2026 in 岡山」

NPO法人全国女性シェルターネットなどは10月17、18日、「第27回 全国シェルターシンポジウム2026 in 岡山」を岡山市で開催する。1日目はイオンモール岡山の未来ホール、2日目はピュアリティまきびを会場とし、両日参加は5,500円、1日のみは3,500円。初日のパネルでは「DV被害者が逃げるだけの社会を終わらせる」を掲げ、女のスペース・おん理事の近藤恵子氏、弁護士の原田直子氏、カルガリー大学准教授の高野嘉之氏らが加害者責任を議論する。

2日目の分科会を見ると、現在のDV支援が「暴力から避難する」だけでは完結しない事情が表れている。テーマは親子交流、ペット同伴避難、子ども・若者支援、テクノロジーを悪用したDV(TFA)とスマートフォン、支援者の二次受傷の5分野。岡山県で活動する認定NPO法人オリーブの家は、ペット同伴可能なシェルターを運営しており、「ペットがいるから逃げられない」という問題を分科会で扱う。避難の可否が本人の安全だけでなく、子ども、動物、通信機器、経済状態など生活全体の条件に左右されることを示す構成だ。

制度面では2024年4月、改正配偶者暴力防止法が施行された。接近禁止命令などの対象は、身体への暴力や生命・身体への脅迫に限らず、自由、名誉、財産への脅迫を受けた場合にも広がり、発令要件も「生命又は身体」への重大な危害から「生命又は心身」への重大な危害へ拡充された。性的画像をインターネットに拡散すると告げる行為なども、個別の証拠に基づき裁判所が判断する対象になり得ると内閣府は説明している。

ただし、保護命令制度が拡大しても、「ペットを置いて行けない」「子どもとの面会をどうするか」「スマートフォンを通じ追跡される」といった問題が自動的に解消するわけではない。法制度は加害者との接触を制限する手段を提供するが、被害者が安全な住居、生活費、子どもの生活、通信環境などを再構築する部分では民間シェルターや自治体の支援が不可欠になる。政府も2026年度に民間シェルターなどとの官民連携や相談体制を支援する事業を継続している。岡山のシンポジウムが「被害者が逃げる」から「加害者に責任を問う」へ議論を広げることは、被害者だけに生活変更の負担を負わせる現在の支援構造を検証する機会となる。

出典

PR TIMES/認定NPO法人オリーブの家「第27回 全国シェルターシンポジウム2026 in 岡山」
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000166149.html

内閣府「改正配偶者暴力防止法の施行について」
URL:https://www.cao.go.jp/press/new_wave/20240314.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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