1.内閣府の第5回調査では、生理用品の提供に取り組む自治体が926団体確認された。
2.保健室での手渡しとトイレ個室への常設では、児童生徒が利用する際の心理的負担が異なる。
3.全国調査は学校ごとの設置場所や利用数を集計しておらず、地域間の利用格差を把握しにくい。

内閣府男女共同参画局が2025年2月に公表した第5回調査では、生理用品の提供を実施、終了または検討している地方公共団体として926団体が確認された。内訳は、自治体独自の取組が811団体、地域女性活躍推進交付金などを使った取組が164団体で、49団体は両方を実施していた。学校、公共施設、相談窓口などへの配布は各地に広がったが、926団体という数字だけでは、児童生徒が校内で実際に生理用品を使える環境までは分からない。
学校での提供方法は、保健室で養護教諭から受け取る方式、トイレの共用部分に置く方式、個室内に常設する方式に分かれる。内閣府の資料は、生理用品の無償提供を知りながら利用しなかった129人のうち、8.5%が「申し出るのが恥ずかしかった」、7.8%が「人の目が気になる」、6.2%が「対面での受け取りが必要だった」と回答した厚生労働省調査を引用している。物品が学校内に用意されていても、教職員への申出を必要とする仕組みでは、利用をためらう児童生徒が残る。
自治体の運用には差がある。北海道教育委員会は2023年度から道立学校のトイレに生理用品を配置し、2026年4月末時点の設置校は高等学校186校、特別支援学校64校の計250校で、設置率は99.2%となった。未配置の特別支援学校2校では、児童生徒の障害の状態を踏まえた個別対応を行っている。新潟市も市立学校のトイレに配置する一方、日常的に使用する生理用品は自己管理が基本であると説明し、緊急時や生活環境上の事情がある場合の支援として運用している。
葛飾区は2022年4月、小学4年生から6年生と中学生が使う女子トイレについて、各階1か所、2個室を目安に生理用品を配備した。それ以前は保健室での配布を中心としていた。北海道のように道立学校全体を対象とする方式、新潟市のように緊急利用を基本とする方式、葛飾区のように対象学年や個室数の目安を定める方式では、同じ「学校での無償提供」でも利用できる場所と場面が異なる。
第5回調査は、生理用品支援を行う自治体名や提供場所、調達方法を掲載しているが、全国の公立学校のうち何校がトイレに常設しているか、全個室に置いているか、保健室配布に限るかを集計していない。学校別の配布数、欠品期間、児童生徒の要望も共通指標にはなっていない。このため、自治体数が増えても、申出をせず利用できる学校環境がどこまで整ったかは評価できない。内閣府、文部科学省、教育委員会が次回調査で、学校種別、設置場所、対象学年、利用数、補充方法を分けて確認すれば、提供の有無では見えない利用格差を把握できる。
内閣府男女共同参画局「『生理の貧困』に係る地方公共団体の取組(第5回調査、2024年10月1日時点)概要」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/kenko/periodpoverty/pdf/5-1.pdf
内閣府男女共同参画局「『生理の貧困』に係る地方公共団体の取組のうち、地方公共団体による独自の取組一覧」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/kenko/periodpoverty/pdf/5-2.pdf
厚生労働省「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000919869.pdf
北海道教育委員会「学校トイレへの生理用品の配置」
URL:https://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ktk/255705.html
新潟市「学校トイレへの生理用品の設置について」
URL:https://www.city.niigata.lg.jp/kosodate/gakko/sho_chu_school/gakohoken/gakohoken/seiriyouhin.html
葛飾区「区立小・中学校及び保田しおさい学校における個室トイレへの生理用品の配備」
URL:https://www.city.katsushika.lg.jp/kosodate/1000057/1002475/1028985.html
